イラストレーター、アニメーション作家として活動されている
ミヤギトオルさんの個展『トールテール』をご紹介致します!
展示会は3/12(木)までの開催です。
まずご紹介させて頂くのは、
上映時間1分50秒のアニメーション作品
『 影絵 』
とある夜、うまく寝付けない主人公のミチルが
月明かりに手をかざし、影絵を作ろうとするところから
話は始まる。
ミチルがやっと眠りに落ちたころ、
窓の方から影のキツネがやってくる。
小さく丸みを帯びた子供の手から
生まれたはずのキツネは、
とがった耳、裂けた口元であった。
実体としては存在しないはずの影が、
独りでに意思を持ち、出歩くことの恐怖はあるけど。
彼の口からミチルを心配する一言が出たところで、
画面は建物の外へフェードアウトする...
トール・テール【tall tale】
アメリカの西部および南部の辺境地帯に伝わる民間伝承のほら話。
それが展示タイトルの意味である。
『 影絵 』 で胸の内に不思議な思いが生まれた理由が
なんとなくでも伝わると思います。
アニメーション作品の他にも、
多数のイラスト作品が展示されているので、
続けてご紹介致します。
『 報告 』
会場内の棚の奥にぽつんと置かれた一作。
あまり人が立ち寄らない街の外れで、
ウェイターと自身の影が向き合って何かを「報告」しているようだ。
影を自分の延長線上の存在として捉えるならば、
それは裏の顔、表には出せない思いにも見える。
『 片思い 』
段数の多い階段を慌てて駆け下りる男性。
脇には横目で彼を見つめる女性が潜んでいる。
彼が意中の相手なのかなと思ったとき、
彼に似たシルエットの手配書を見つけたり、
あれ、彼女が毒々しい花を抱えてるぞ、とか。
もしかして彼を倒そうとしてるのか、とか。
片思いは、愛ゆえに、とはいかないことも
あるかもしれない。
タイトルをご紹介する前に、作品をご覧頂きたい。
ほどほど鋭利な三日月にかかったはしご。
タイトルは『あの娘の故郷』※要反転
ロマンチックな作品であるとともに、
現実的な側面からみると結構ハード。
そこに彼女が必ず居るならばそれを昇れば良い話だけど、
浮かない彼の表情を見ると様々な思いを持ってしまう。
何段昇ったら、辿り着けるのだろうとか。
最後にご紹介するのは展示タイトルと同じく
『 ほら話 』と名付けられた作品。
傍らにはウェイターが直立しオーダーを待つ中で、
二人の男性が信憑性のない話を延々と続けている様子。
話は突拍子もなく移り変わり、その間も直立を続けるウェイターの死んだ目。
彼の沈んだ目の理由は、仕事がまずの原因なのかなと思う。
もし、魅力的な話がこのテーブルで持ち上がっていても、
彼の目は沈んだまま浮き上がることはないんだろうな。
でも、そんな場所に行ってみたいと憧れる人、
いませんか?私はそのクチなのですが。
ミヤギトオル 『トールテール』
会期:2015.3.6 - 2015.3.12