SHINTARO IWASA
『I WAS A FIRE』
2016.5.3-2016.5.9 at EAST 202
展示空間そのものを作品に仕立て独自の世界観を提示している岩佐新太郎『I WAS FIRE』。
一歩足を踏み入れたその瞬間から浴びせられる激情に圧倒されます。
写真に写るのは岩佐さん本人。
自身が手掛けるアパレルブランドを軸に置きながら、こうした作品発表を行っています。
展示は一糸まとわぬ姿で咆哮する自身の姿を捉えたおびただしい数の写真から成り、
5編の特大の連作以外は無秩序に散りばめられています。
岩佐さんの活動は元々アパレルのデザインから始まり、自身で企画した展示会の度にコンテンポラリーアート色の強い作品を手掛けていました。
当初はモデルを起用して作品を制作していた岩佐さんですが、自身の構想を形にするために最適な方法を模索し、その結果たどり着いたのが自らが被写体となり作品の一部となるこのインスタレーションでした。
この作品はどのような発想のもと生まれたのか。
そのモチベーションは一種のアンチテーゼが源流となっています。
ロジカルかつコンセプチュアルに世界観を提示することこそが作品の本流となっている昨今のアパレル業界に疑問を感じた岩佐さんは、一切の無駄を排し、感情や感覚で自身を表現することに活路を見出しました。
作品からはいまにも血管がブチ切れそうに、受け止めきれないほどの激情が雪崩れ込んできます。
今回の展示のために行った撮影は1時間半ほど。
ひたすら叫び続けた結果、酸欠状態で何度か意識を失いかけたといいます。
展示空間は360度ほぼすべてこのような写真作品に囲まれたカオティックな空間。
居心地の悪さを感じないのは、無秩序でありながらも白に統一されたトーン、構成、ライティングなどは確かな意図があり、すべてがこの作品を完結するのに欠かせない要素であるから。
アウトプットされた感情はこの空間で論理と理性に収束し、作品としての実を結んでいます。
この展示のもう一つのメインが服の販売(\5,000- )。
白地のTシャツに写真プリントとシンプルですが、シルエットが細身なので着こなしやすくできています。
なによりプリントされた作品がかっこいいですよね。
展示が終了し数か月後、岩佐さんはベルリンへ渡り1年かもしくはそれ以上、海外で活動のベースを築いていくそうです。
今後の活動にも要注目のアーティストです。
SHINTARO IWASA
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【出展スペース:EAST 202】
DF STAFF isaka