バナーエリア

このブログを検索

KYOCO MORI, MARIE HIGASHI, Sebastian Heynig, Jiro Ban, Ilan Pariente 『クロスオーバー』



KYOCO MORI, MARIE HIGASHI, Sebastian Heynig, Jiro Ban, Ilan Pariente
『クロスオーバー』
2019.10.15-2019.10.21
at EAST 202

国際色豊かな5人の作家が集まったグールプエキシビジョン『クロスオーバー』。
ペインティングやコラージュ、ミクスドメディアなど、さまざまな形態を横断したハイレベルな展示会となりました。





画家のKYOCO MORIさんを発端とし、中心に伴 治朗さん、東 真里江さん、Sebastian Heynigさん、Ilan Parienteさんの5人が集まったグループ展。

本展示のためにSebastian Heynigさんはアルゼンチンから、Ilan Parienteさんはフランスから来日するなど、力の入った展示会です。




こちらは今回の展示の発起人KYOCO MORIさんによる絵画作品。

MORIさんは、現代社会の中で女性が抱える葛藤や混沌としたネガティブな感情を、ポジティブに、ときに滑稽に作品へ昇華しています。形態はペインンティングのみならずコラージュ作品など幅広く手がけており、今回はペインティングを中心に展示を構成しています。

「ポジティブに、滑稽に」というベースを感じさせるポップな絵画作品。絵の中の女性はどこか気高く、女性であることに誇りを持っているように見えます。




フランスから来日したアーティスト Ilan Parienteさんは写真を中心としたポートレイト作品を展示。

シンプルに、真正面から人物と向き合ったポートレイトには、説得力と力強さ、モチーフのキャラクターが色濃く画面に現れています。

写真をベースとした絵画作品は、背景の描写や顔に刻まれた年輪とも言えるシワの一つ一つなどを細密に描き、人物の個性と各人のストーリーを拡張するといったIIanさんの思いがこもったもの。柔和な表情にも、その人自身が経てきた歴史そのものが一枚絵で表現されています。




コラージュ作家として10年以上のキャリアを持つ伴 治朗さんの作品。
今回の展示ではデジタルコラージュ作品が展示されています。

コラージュというと、雑誌や新聞などの素材を切りはりし、つなぎ合わされたアトランダムなコンポジションをイメージする人も多いかもしれませんが、伴さんはあくまでも写実的に、かつシュールな絵作りが印象的。

人物の配置や前景、背景などの立体感の表現など、あたかも画面の中の風景が現実に存在するかのような画面構成です。




昨年12月に弊廊で開催された『過密』にも参加されていた東 真里江さん。
今回の展示ではオイルパステルを画材に使用した絵画、ドローイングを出展しています。

昨年の展示では細密画というテーマ設定のもと、線や形が印象に残る作品がメインでしたが、本展示では内なるものが画面に流れ出ているような、意識の深淵を垣間見ているような作品となっています。

最近の制作では描く行為において「手で触れる」ことを意識するようになったという東さん。今回の作品、とくにこちらの写真にある作品は作家自身の手が辿った軌跡、触覚が生々しく画面に反映されています。目の前にある作品がまっさらな白い紙だったようには思えず、まるで絵そのものがそこから表出してきたかのようにも感じます。


このメンバーが集まったことが奇跡のような、一人ひとりの個性がとても強いグループ展です。この機会を逃してしまった人は、ぜひ今後の5人の活躍に注目してみてください。