上杉 菜乃 / 牛乳カンパニー
『"私の個展の先駆けになる何か"「半透明な」展』
2019.7.16-2019.7.18
2001年生まれ、現在高校に通いながらも現代美術アーティスト兼イラストレーターとして活動する上杉 菜乃さんの初個展となる『"私の個展の先駆けになる何か"「半透明な」展』。
今回の展示はこの年代にして社会的な問題意識を作品を通して表現を試みるという、インスタレーション作品となっております。
ペインティングやレディメイド、イラスト作品や写真など、あらゆるメディアを活用した本展示。作家の上杉さんは小学生の頃から現代美術に関心を持ち、作品を制作するようになった現在も現代美術的なアプローチで自身の作品を表現しています。最初に現代美術に興味を持ったきっかけがロスコというから驚きです。
今回の展示では「現代の大量消費社会や情報化社会の皮肉さ」を上杉さんなりに解釈し、さまざまなメディアを通して表現しています。
この写真中央にあるレシートの履歴や、冒頭の写真にある大量のCDケースもそのうちの一つ。CDケースは上杉さんの家庭環境における消費活動を通して感じてきた違和感を形にしたもの。
現代人の消費活動に対する疑問やSNSに代表されるような情報過多に思うことなど、「自分が言いたくても言葉で言えないこと」を、作品を通して伝えることを心がけているという上杉さん。日々感じることはあれど、例えば自分の目上の人に対してや距離感の近い人に対しては、自分の意見を言いにくいということがときとしてあるのだそうです。この年齢ながら現代美術に傾倒する人はなかなかいませんが、同時にそこには上杉さんの年齢ならではの葛藤があります。
上杉さんは現代美術的な作品とは別に、名義を使い分けイラスト作品にも取り組んでいます。今回の展示は一つの空間でコンセプトを表現する作品形態ですが、そこにはイラスト作品も内包されています。改めて上杉さんの表現の引き出しの多さに驚かされます。
今回の個展は、これから受験を控えるという上杉さんの作家としてのスタートのための展示なのだそうです。表現者としてますます磨きがかかるだろうことがとても楽しみになる展示でした。ぜひ足をお運びください。
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[WEST 1-G]
staff isaka