DFGスタッフ 'こうたろう' のブレない仕事 vol.2
- さくら亭 エントランスギャラリー編 -
今回も、DFGスタッフのこうたろうがさくら亭のエントランスギャラリーで作業をしているという情報を聞きつけ、彼へカメラを向けた。
彼は表舞台に立つことを好まない。
彼は引き立て役。主役を影から支える存在。
ブレない仕事に定評のあるこうたろうであるが、裏方に徹する彼のことを知る者はまだまだ少ない…
さて。
今回、さくら亭のエントランスギャラリーを飾るのは、以下の3名!
ご自身で漉いた和紙で鯨を作り出した岩田眞理子さん
同じく和紙を用いて繊細で可憐な立体作品の作者aki misakiさん
先日、EAST 101-b 内でライブペイントパフォーマンスをされたmatsui pyosさん
皆様先日まで、EAST 101-b で出展されていた女子美術大学の方々です★
私が到着した頃、マスタード色のニットカーディガンを羽織った孤高の職人の姿があった。
——居た。
こうたろうだ。私は息を飲んだ。
柱越しに見えた彼からは、近寄り難いほどの気迫を感じる。
いや、気迫と言うと語弊があるかもしれない。
それは炎に例えるなら青く冷たい炎。それも内なる炎だ。
少しよれたオーバーサイズ気味のカーディガンが彼によくマッチしている。
言うまでもない。
このカーディガンは……ビンテージ品だ。
彼はただひとつの仕事を長年続けただけの無粋な職人ではない。
違いのわかる、そう、オシャレな職人だ。
私は、作業中の彼に静かに挨拶をした。
彼はこちらを振り返ったが、小さな会釈をしてそのまま作業を続けた。
作業を黙々と続けるこうたろう。
今日はどう仕事をこなすのか興味津々だ。
私は聞いてみた。
「カーディガンお似合いですね。マスタード色がお好きなんですか?」彼は答えた。
「…この世界に存在するカーディガンの中で、マスタード色をしたカーディガンは全体の何%だと思う?」
私は皆目検討もつかなかった。
返す言葉を探す私に畳み掛けるように彼は続けた。
「世の中には全体の1%にも満たない小さな存在のものがある。ただ、どんなに小さな数字でも、不要なわけではない。必要とされるから存在するのだ。」
私はこのとき、彼の言葉の全てを理解するには至らなかった……
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それでは、作品の紹介に移ります。
さくら亭エントランスに入ってすぐ左手に展示された matsui pyos (マツイぴょす)さんの絵画作品。
淡く綺麗な色合いで、少し古風なさくら亭のエントランスの雰囲気を明るく演出します。
入口の右上方にはaki misakiさんの作品が展示されました。
近くで見てこそ、この作品の魅力が伝わるのではないでしょうか。
ランダムに折られた紙。繊細さの中にもどこか力強さを孕んでいるようにも見えます。
「どうですか、こうたろうさん。」
「何千、いや、何万という作品をこれまで展示してきたが、この瞬間の感動が薄れることはない。」
和紙で鯨を象った作品『春の鯨』の制作者は岩田眞理子さん。
さくら亭エントランス入って正面の空間を飾りました。
和紙は丁寧に草木染めで染められています。
DFGスタッフ・こうたろうの仕事は、こうして誰の目に触れられずに行われる。
誰の手も借りず、もくもくと作業を続けるこうたろう。
私は聞いてみた。
「仕事が辛いと思ったことはないのですか?」
彼は答えた。
「私が中途半端な仕事をしてしまったら、作家の意図が霞み、作品はただそこに置かれているだけのものになる。もしそんなことがあれば、そのとき私は初めて仕事が辛いと思うだろう。」
それが彼、こうたろうの仕事の流儀なのだ————
つづく。
マツイぴょす
岩田眞理子
aki misaki
お腹がすいたときは!
お好み焼き・もんじゃ焼き さくら亭
【 こうたろうのブレない仕事シリーズ 】
こうたろうのブレない仕事 第一話「金縁眼鏡」
こうたろうのブレない仕事 第二話「マスタード色のカーディガン」
こうたろうのブレない仕事 第三話「フラボアを着た職人」
こうたろうのブレない仕事 第四話「鬼」
こうたろうのブレない仕事 第五話 「禁断の強アルカリ洗剤」
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