『青』について。
『青』だけじゃない『青』について。
その中で感じた自分がいま描く理由を描きました。
続いていく日常、当たり前に思いがちな日々を考え直して、
希望を込めました。
誰かが笑顔でいられるように。
イラストレーター 辰貴さん 個展 『もっと青く、続く。』
WEST : 1-C にて開催中
「伝えた想い、響く声、君の音。」
気付かぬうちに、
展示タイトルに引っ張られているのかもしれないけど、
青い、そして色彩を強調している辰貴さんのイラスト。
確かな想いを瞳に込めているが、
しかし柔な部分も見え隠れする。
それは生き物だからあって当たり前で、
だからこそ、限りある時間を消費し息をする私達に似ている。
「瞬間。」
瞬間という言葉をより正確にトレースするならば、
意識と認識にはズレがある、同一ではない。
これも生き物としてどうしようもない能力上の問題。
そのズレがこの作品にもあって、
そのズレにより発生したモアレみたいなものが、
醸し出されていると思う。
だから、描かれたものは具体的じゃないし、
そのふわふわしたものに鑑賞を通じて触れる。
「突き進む。」
猪突猛進、描かれたサイの頭部。
色付いた飛沫が印象的である。
勝手なイメージだと、サイは灰色だと思い込んでいる。
しかし、白色をベースにペイントが施されたようなボディも似合う。
瞳はビー玉みたいに光を照り返している。
恐らく丈夫な皮膚をお持ちであろうが、
突き進むことは同時に身体を少なからず傷付けることにもなるはず。
外部からのダメージとそれを受け止める表面、
この構図をよりあらわに表現している。
気付けば「弱い」という言葉を使っていた。
強くあろうとすること、つまりそれは弱さを認識しているということ。
成長したら、今までの自分が死んでしまうような。
色だけじゃない青さが、辰貴さんの作品にはあったから、
そんな青い言葉を、私は使いたくなったのだ。
辰貴 『もっと青く、続く。』
会期:2016.1.15 - 2016.1.17