Fideal『3つのテーマによる写真展』


Fideal
『Fideal 3つのテーマによる写真展』 
2016.1.15 - 2016.1.17 at WEST 1-F
過去の展示についてはこちら

わたしたちの暮らす日常は無限の色に溢れています。
木の葉は季節を巡るごとに緑、黄、赤と色を変え、
クリスマスにはカラフルな電飾が街を彩る。

彩り豊かな世界をあえて白と黒のみで表現する。
そこに当然のように存在するものを排すことによって与えられる意味とは何か。


Fideal『3つのテーマによる写真展』 は、その意義について考えさせられる展示です。





今回の展示は3つのテーマにより構成されています。

ポートレート作品に根底にあるテーマは後ほど紹介する「崩壊する時間」がベースとなっています。

モデルの表情は笑うでもなく悲しむでもなく、一見して感情を読み取ることが難しい。
しいていうなら表情に色がない。
だからこそ、力強い視線、瞳に目が行きます。




白と黒のコントラストが強く出た作品にそっと溶け込むように、被写体が佇んでいます。




「樹海」シリーズはその名の通り、樹海を写した作品と、ヌード作品の二つに大別されます。

以下、キャプションより抜粋:

原生林に存在する、樹木、光、風、動植物,そして人間、そのすべての存在が同価なものであり、生命力に溢れた事象であります。

樹海に置ける女性像は、大地の象徴であり、女性性における、死と再生のメッセンジャーでもあります。 




樹海そのものを被写体としてとらえた連作は、光と影のコントラストが美しく表現されています。

逆光下で撮影された写真は白い部分は白く、黒い部分は黒く、陰影が強調され、枝葉を通し降り注ぐ陽光が線を結ぶ様は神秘的。
そびえ立つ木々の一本一本に畏怖の念を抱かずにいられません。




その樹海に裸婦というモチーフが加わることにより、原始より連綿と続く生命の営みを表現したのがこちらの作品たち。




女性=母胎が大木と同化するかのように、ともすればこの女性こそが人の形を与えられ擬人化した大木そのものように神々しく見えます。

色を排除することにより光と影のみで浮きぼりにされた肢体は豊かな乳房、浮き出るあばら、肉付きのどれもが一切の澱みもなく美しい。




つづく「崩壊する時間」は退廃的な雰囲気が漂う建築物がメインの被写体。

陽の射し方、影の出方が一日のうちその一瞬しかないだろうというタイミングで切り取られており、現実に存在する建物でありながら非現実的にも写ります。




静岡の修善寺温泉街で撮影されたこちらの作品は、ゆっくりと終わりへ向かう、すなわち「崩壊」する建物を、これまでの時間を表現するとともに、これから迎えるであろう運命をも示唆しています。
崩壊する建物とは対照的にそこに変わらず影を映し続ける木が、時間という概念の壮大さを教えてくれます。

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これらの作品はすべて、モノクロのフィルムにより撮影されたものです。
フィルムによるモノクロ作品を制作する理由を問うとこう答えてくれました。

「デジタルは写りすぎる」




作品は40年〜50年も前のフィルムカメラにより撮影されています。
その時代のカメラはいま程技術が洗練されていないため、逆光には弱い。
つまり影となる部分のディテールが損なわれてしまいます。
それは逆に言えば黒は黒く、締まるような黒を表現出来るということ。

それに加え、「自分の性格的にもデジタルではいくらでもシャッターを切ってしまうけど、フィルムは一つひとつ大事に撮ることができる」という、作家自身のスタンスにもフィルムという選択肢は合致しているのだそうです。


表現したいもののみにフォーカスを当て、余計な情報は排除する。

『モノクロは光と影の芸術だ』という言葉がありますが、白と黒の濃淡のみで表現された今回の作品は、どれもみな研ぎ澄まされ、鋭く脳裏に焼き付きました。


Fideal
http://ameblo.jp/fideal/


【出展スペース:WEST 1-F】
DF STAFF isaka