EAST : AP-12
アートが持つ暴力性を"身体"で知っている。
恐ろしい子です。
彼女の名前は、ミズシマチエ。
「 」
タイトルが記載されたキャプション。
ここからもわかるように、
実は彼女、真面目、真っ直ぐな子なんです。
でも、赤みを帯びた鉛を流し込んで出来上がった彼女の軸は、
360度以上の回転を繰り返して、あらぬ方向を指している。
己による、己の為の、己への問い掛けを観者に向けてしまいました。
でも、彼女は真面目だから。
このキャプションは、彼女の為にあるのだと思うのです。
他人に預けたりなんかしない。
己に向けて、自問自答。
僕や貴方の居場所は、フェンスの向こう。
観者になる私たちは、その金網フェンスの隙間から、
作品と彼女を俯瞰/傍観するのです。
正面の壁一面に張り出された生物は、
精神/肉体的にも過酷な環境下の中で産声をあげてから、
死ぬまでその劣悪な環境化での労働を強いられることでしょう。
真に純水な液体などありはしないそうですが。
純度が高すぎれば、もう人間の手には負えない。
酸素だって、僕らを殺しにかかってくるんだから。
さて、先程のキャプションにもありましたが、
彼女の作品「 」はこちらが本体。
いや、本体という言葉が正しいのかさえ危うい。
だって、今尚背後で、暴力の機会に飢え、涎垂らしているてアレは?
あぁ、これはインスタレーションの歯車のひとつ?
「いや、ミクストメディアです」
言葉に惑わされてしまう。
彼女の言葉と作品は本来の意味が収まる器から溢れ出して、
隣接する他の要素と勝手に化学反応を起こすのです。
- はじまりは彼女の意識から流れ落ちる -
歪で、至る所隆起した彼女の思考回路の管を流れつつ、
側面をこそぎ落としつつ進む、進む。
突如バルブが開放され、濁った液体が混入してきた。
勿論、互いの性質/相性など確認もせず。
のちに排出されるであろうそれは、
蛇口みたいに制御"される"出口を選択せずに
皮膚の隙間から、入り口から、
「ゴポッ・・!」
顔を覗かせるのです。
彼女は何を求めているのか。
そのことだけをフェンスの向こう側から見続けていきたい。
ミズシマチエ はそんなアーティストです。
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彼女の展示は本日が最終日となります。
細胞は日々、生まれ、死ぬから、
この展示を見れるのは本日が最後の機会です。
ご来場、お待ちしています。
(ぱんだ)
- AM : 05:33 -