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かるき 『四季の少女』


EAST : AP-11

清楚で涼しい顔した可愛らしい子も、季節に乗らない服装だとはずかしいことになります。
服をスロウにしたら、ちょっと残念なおんなのこが生まれました。
残念な美少女画です。

"服をスロウにする"

今回、かるきさんは、奥ゆかしさ漂う和服「浴衣」から、
スロウアートへのとっかかりを見出しました。

そして、舞台に上ったのは四人の少女。


四人の少女は四の季節を身にまとう。

浴衣の表を飾るのは季節を主張する花木。
個々、季節に対応する花木の柄で浴衣は染め上げられています。

また、直接の描写はなされていませんが、
彼女らは気候に合わせた気温の中に居ます。

この気温を製造するのは、
バックグラウンド色、浴衣自体の機能、花木の柄の組み合わせ。

足し算ではなく、掛け算で解いていきましょう。


それぞれの環境を読み取るプロセスのに過程で、
浴衣をまとう人物が子供であることは大きいと思う。

確かな根拠をあげられないのが力及ばずですが、
彼女達は、環境による影響に対し、大人よりも過敏な反応を見せるのではないか。
恐らく、体温調節機能の充足はまだ先のこと。

大の大人でさえ、季節に対応した衣類を着なければ、
満足な体温調節など望めないでしょう。


それでも、かるきさんは少女たちを手招きし、ズレた浴衣を手渡した。
純情な彼女たちは不満も漏らさず、衣装を変えた。


四季に渡る環境変化を、彼女達は身に受ける。

「与えられたから」という理由だけで、疑問を表に出すことなく。
誰一人として、彼女たちは笑おうともしない。

笑ったことはあるのだろうか。
いや、あるのだと思いたい。

" ちょっと残念なおんなのこが生まれました "

半年前、デザインフェスタで初めて、かるきさんの作品と対面したとき、
僕は現実と薄皮一枚で隔てられた向こう側。
異質で白色の世界を目にしました。

そこは現実と非現実が混濁していて、
自分がその場に放り込まれたら、肌寒さを感じるであろう場所で。

漂白されていました。

- 四季の少女 -
勿論、彼女らは着せ替え人形などでは無い。
今尚、暑さ/寒さに煽られ、汗と鼻水を流しながらも生きている。


勿論、生きているのだけど、
やはり、かるきさんが描く世界はいつも、どこか、ズレている。
日常から剥離している。

その薄皮が裂けないように、
ゆっくりと指先で剥がしていくことに、
僕は喜びを感じました。

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皆様には是非とも、かるきさんの複数の面を見て頂きたい。
今展示と平行して、中野でも展示をされています。
詳しくはホームページをご参照ください。

でも、其の前に、本日最終日の少女たちをごらん頂ければと思います。


(ぱんだ)