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古谷茉夕 長田彩乃『夢のまた夢』


長田彩乃 古谷茉夕『夢のまた夢』
2021.8.9-2021.8.11
[WEST 1-G]

一日の終り、夢の中へ堕ちている時間は、どのようなものでしょうか。
明るくて楽しい夢、どことなく暗くてじっとりした夢、私達は日々眠りの中で様々な夢をみています。
そんな夢にまつわる、浮遊感が感じられる空間をご紹介いたします。

古谷茉夕



現在、アメリカの美術大学にてアニメーションを学ばれている古谷茉夕さん。
日頃みる夢は比較的暗い夢が多いそうで、その夢を元にドローイングや絵画作品、テキスタイル、立体といった様々な手法で作品展開が行われています。
目覚めた瞬間、それが夢だったか現実だったかわからなくなることが多く、「みている夢ことが現実である」という意味が込められた江戸川乱歩の「うつし夜はゆめ 夜の夢こそまこと」という言葉からインスピレーションを受け制作された作品もあるのだそう。


日頃から夢日記をつけているという古谷さん。こちらのメモは、実際に起き抜けに記した夢の断片なのだそう。
混沌とした夢の中と現実の間を揺蕩っている状態が文字列からも伝わってきます。


現在専攻として学ばれているアニメーション作品も展開中です。
空間全体で彼女の夢の中の世界が表現されており、鑑賞者である私たちも古谷さん個人の頭の中を覗き見しているような、そんな感覚に陥りました。

長田彩乃


長田彩乃さんの作品は、アナログとデジタル、ふたつの手法で描かれた、ポップで柔らかいイメージの作品群です。



アクリル絵の具で描かれた、アイスとフルーツと生クリームがたっぷり乗った夢いっぱいのパフェと、デジタルで緻密な配色で描かれた、艷やかな描写力に目をみはる美味しそうないちごパフェが目に留まりました。
比較的明るい夢を多くみるという長田さんは、その楽しくて明るい夢のイメージをスウィーツに込めています。


真っ白でシンプルな表紙のこの絵本。長田さんが実際その日みた夢を文字に起こし、その夢のイメージに合った配色のアイスクリームが描かれています。
色のイメージがわかりやすい夢から、抽象的で概念的な夢まで、長田さんの感性がそのアイスクリームに込められており、読み進めるうちに心がじんわりと優しい気持ちになっていきます。


お二人それぞれが実際にみている夢の中が可視化され、表現として落とし込まれている空間は、浮遊感もありながらも共感できる部分も多分に含まれており、しっかりと現実味も感じられます。
私たちが今いる世界は、夢と現実の間、「夢のまた夢」の世界なのかもしれませんね。
お二人の夢の中の世界をじっくりと覗き見してみてはいかがでしょうか。

本展は8/11(水)まで。

作家詳細

古谷 茉夕
instagram:@mayufurutani

長田 彩乃
instagram:@wanwanneko1

<スペース詳細はこちら>

[WEST 1-G]

staff kome