滑らかで温かく、抱きしめるとどくどくと血の流れを感じる、人間の身体(しんたい)。
生命そのものである私たちの身体は、この世に生を受けてから死の瞬間まで、常に成長と変化を遂げています。
肌、手、足、顔、髪、筋肉、臓器に至るまで、まだまだ解明されていないことも多く、自分自身のものでありながら不可思議な「身体」。
それは芸術の分野においても、古来より様々な形で表現されてきました。
特に近現代では、絵画や彫刻といった表現技法に留まらず、コンテンポラリーダンスや現代アートといった分野においても広義で用いられ、「身体」は我々に強いメッセージを投げかけています。
そんな中、コロナ禍においてフィジカルな対話が難しくなってしまった今日。
こんな時代だからこそ、「身体」について思考することは人と人の「心」の距離を縮める方法なのかもしれません。
デザインフェスタギャラリーでは初の企画展となる本展。
以下、19組中6組(1〜6)の展示レポートをご紹介いたします。
1:ある
2:牧 美步
3:Kaho Katayama
4:MIKANA
5:瀬川 夏帆
6:森川エリー
その他の展示レポートはこちら!
『身体展』展示レポートvol.2
『身体展』展示レポートvol.3
1:ある
2:牧 美歩
温かみのある世界感で描かれる牧 美歩さんの作品。肌の赤みが印象的で生きてる証のように輝いています。浴室で身体を洗っている人を描いており、牧さんにとってのお風呂で過ごす一時を表現されています。
お風呂で身体を洗いゆっくり過ごしている時は、衣服も物も何も身に付けず素のまま状態で、たった一人になれる特別な時間です。牧さんはこの時間に自身の心とも向き合っているそうです。身体と一緒に心もスッキリしそうですね。
3:Kaho Katayama
迫力のある肉体を描かれたのはKaho Katayamaさん。静止した状態ですが、躍動した時の筋肉の動きや力強さを想像できる作品です。油絵特有の重量感により身体の物体的な存在感も感じられます。
身体をメインとした作品ではありますが、人物単体の立体感とその周りの空気感による空間表現が身体と同じくらい魅力的です。そして、空間の鮮やかな色彩によって人物が一層際立っていることも魅力に繋がっているのではないでしょうか。
4:MIKANA
身体のラインの美しさをシンプルな構成で表現されており、日本の古典的な表現と現代の平面的なイラスト表現が合わさったような作品に仕上がっています。また、作品内の空気感は身体のラインに沿って流れるだけでなく、女性の視線の先に自然と流れていくところが魅力的な作品です。
5:瀬川 夏帆
流れているような自由度の高い線を刺繍で表現されている瀬川 夏帆さん。刺繍のラインは程よい固さを持ちながらも柔らかく輪郭を表しています。街を行き交う人々や人物画を刺繍で表現された作品が並んでいます。
多くの線で立体感を出している作品や最低限の線で描くイラスト的な刺繍作品があり、同じ刺繍作品でも幅広い表現方法をされています。曖昧さを残した線が人物を背景に溶け込ませ、気持ちの良いリズムが生まれています。
6:森川エリー
テキスタイルで制作されている森川エリーさん。こちらは、半立体と立体で構成された空間表現のような作品です。身体の中の世界を表現されており、普段は見られない生命の姿です。細部まで刺繍やペイントが施されており、複雑で未知な部分が未だ残る身体と重なります。
色彩のグラデーションや有機的な曲線が生き物の生々しさにも感じられます。科学的な一面もあり非現実的にも思えますが、自分たちの身体を形作っているものは、このような不思議な要素なのだと気付かされます。
『身体展』は3/20(土)まで開催中!
下記より展示レポートの続きをお楽しみください。
『身体展』展示レポートvol.2
『身体展』展示レポートvol.3
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