滑らかで温かく、抱きしめるとどくどくと血の流れを感じる、人間の身体(しんたい)。
生命そのものである私たちの身体は、この世に生を受けてから死の瞬間まで、常に成長と変化を遂げています。
肌、手、足、顔、髪、筋肉、臓器に至るまで、まだまだ解明されていないことも多く、自分自身のものでありながら不可思議な「身体」。
それは芸術の分野においても、古来より様々な形で表現されてきました。
特に近現代では、絵画や彫刻といった表現技法に留まらず、コンテンポラリーダンスや現代アートといった分野においても広義で用いられ、「身体」は我々に強いメッセージを投げかけています。
そんな中、コロナ禍においてフィジカルな対話が難しくなってしまった今日。
こんな時代だからこそ、「身体」について思考することは人と人の「心」の距離を縮める方法なのかもしれません。
デザインフェスタギャラリーでは初の企画展となる本展。
以下、19組中6組(7〜12)の展示レポートをご紹介いたします。
7:WA_Lyricism(Wakana)
8:あすまる
9:haRumi/.
10:T.T.Angie
11:タニモト 大作
12:かいしょう
その他の展示レポートはこちら!
『身体展』展示レポートvol.1
『身体展』展示レポートvol.3
7:WA_Lyricism(Wakana)
絵、詩、造形で作品づくりをされているWA_Lyricism(Wakana)さん。
中央にある人間の顔の形に見える立体作品は、頭半分が切り取られ、そこには丸められた新聞紙や潰された缶が脳みそのように詰まっています。金網が顔を覆い、この人物の記憶を閉じ込めているようにも見えます。
必要ではなくなった新聞紙や缶が外へ破棄出来ないように、自身の忘れたい記憶や思い出もなかなか捨てられないものです。
Twitter:https://twitter.com/WA_Lyricism
8:あすまる
『カラフルな身体』と題されたあすまるさんの展示。 そのタイトル通り、人間の臓器の形の中にそれぞれカラフルなイラストが描かれています。
作品のテーマはアドベンチャーレース。 あすまるさん自身、国内外のアドベンチャーレースの大会に参戦しているとのこと。 レース参戦中に出会った景色や感情を表現されています。
淡い光を浴びたり、透き通った風を感じたり、あすまるさんが見た景色やその時の体験が作品からストレートに伝わり、心が浄化されていくような癒しを感じます。
insragram:https://www.instagram.com/asuka_adventure/
9:haRumi/.
haRumi/.さんは自身の身体のセルフ写真を展示。作品のコンセプトは傷です。
手、腕、足、身体の至る部位にある痛々しいほどの傷を自ら撮影されています。 目に見えるものもあれば、見えないものもある傷。それは他人に知られたくないはずなのに心のどこかでは誰かに気づいてほしいとも思ってしまうものではないでしょうか。
『僕の身体は醜いんだ』。そう思っていても自身の身体と向き合い、傷を身体の一部として受け入れ、私たち鑑賞者に見せることは勇気のある行動だったはずです。消えるかも分からないこの無数の傷が、いつか彼女にとって愛しいものに変化するのでしょうか。
Twitter:https://twitter.com/hebimusume
10:T.T.Angie
T.T.Angieさんが創り上げるのは、ゾッとする気配を感じつつ一瞬でも観たら目を反らせなくなる、怪しくも惹かれる世界観。
向き合った顔の後ろには時計が。この人物の時が止まった様子を表しているのでしょうか。 植物で覆われていたり、目や口の中に虫が出入りしていたり…。自身の命が尽きても外の世界では何事もなかったように時間が流れ、死を恐れるのは誰かに忘れられたくないからなのかもしれません。
T.T.Angieさんのスペースにはコラージュ作品のポストカードや原画の販売もございます。また、会期の毎週土曜には作品の入れ替えを行う予定とのこと。T.T.Angieさんの世界観に惹き込まれた方はお見逃しなく。
instagram:https://www.instagram.com/t.t.angie/
11:タニモト 大作
『身体』そのもののドローイングや、屈んで何かを覗いたり、手で掴んだり、身体の動きに着目した作品が並びます。
縦に3点並ぶ『曲線美の為のドローイング』は、さらりと滑らかな人間の肌や柔らかい身体の曲線のイメージを淡い色と筆の流れで表現されています。微かな色づきは血色のように見え、そこに人の命が宿っているよう。そっと、優しく触れてみたくなります。
HP:https://tanimotodaisaku.wixsite.com/info
Twitter:https://twitter.com/daisakutanimoto
人の生死を表現した1作品。 左側の顔は様々な模様で形成され、内側から生命力を放っているよう。右側の骸骨は点描の表現から儚さや脆さの印象を受けますが、その横顔は生き生きと笑っているようにも見えます。
いつか死を迎えるからこそ与えられた時間は尊いもので、生きた記憶を中央の花が死後に繋いでいるようです。
『身体展』展示レポート vol.2『身体展』は3/20(土)まで開催中!
Twitter:https://twitter.com/daisakutanimoto
12:かいしょう
人の生死を表現した1作品。 左側の顔は様々な模様で形成され、内側から生命力を放っているよう。右側の骸骨は点描の表現から儚さや脆さの印象を受けますが、その横顔は生き生きと笑っているようにも見えます。
いつか死を迎えるからこそ与えられた時間は尊いもので、生きた記憶を中央の花が死後に繋いでいるようです。
『身体展』展示レポート vol.2『身体展』は3/20(土)まで開催中!