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写真展 #filmisnotdead 展示紹介part1(EAST 101)


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#filmisnotdead -Film Photography Exhibition-
2020.12.20(日)〜 12.26 (土) 1週間

DESIGN FESTA GALLERY EAST 101/102/201/202/artpiece
全36組
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フィルム写真文化の発展を目指して発足し、作品を通してフィルム写真の魅力を発信する企画展 #filmisnotdead が開催中!

3年目となる今回は過去最大規模36組のフィルム写真愛好家が集まり、EAST館の1階2階がフィルム写真作品で埋め尽くされています。

こちらのブログでは、EAST 101に出展している9組の作品を紹介します。

EAST 101

B:斉藤 和紀『70's』





#filmisnotdead の初回から参加し、毎回違ったアプローチの作品を展示している斉藤和紀さん。今回は自身の撮影した写真ではなく、ご両親が恋人時代に残した写真のネガの手焼きプリントを出展しています。

現代写真芸術に「ファウンドフォト」と呼ばれる手法があります。
フリーマーケットやアンティークショップなどで手に入る作者不明の写真をコレクションし、「発見者」が新しい解釈を与え新たな作品とする方法なのですが、「忘却された歴史やそれまで可視化されなかった営みが改めて浮かび上がる」(原田裕規「ファウンドフォト」美術手帖)ことを目的としている点では、今回の斉藤さんの作品は「ファウンドフォト」に近いものかもしれません。




ただし決定的に違うのは、写真を撮った、あるいは写っている張本人(=ご両親)と、発見者である斉藤さん自身の間に確かな信頼関係と絆があるということ。それは、暗室に入り丁寧に目の前の写真と向き合い、愛情を込めて形にするという行為をもって、温かみのあるプリントに現れています。




ギャラリーフィルモさん(後ほどご紹介します)にて行われた展示のブックもご覧いただけます。瀬戸内の風景を写したシリーズは、なかなか遠出のできないコロナ禍にあっても旅情を感じさせてくれます。




C:megumi



今回が初出展となるmegumiさんは、多重露光(ネガ上で写真を2カット重ねる技法)を駆使したポートレート作品を展示。

これまでは見る側として#filmisnotdead へお越し頂いこともあるというmegumiさん。
展示されている作品は、ストーリ性のあるポートレート作品ですが、多重露光を駆使して綿密に画づくりがされています。




元々は偶発性に期待してその効果を楽しむテクニックなのですが、人物と、その背景となる別カットがうまく配置されるように計算されています。
まるでおとぎ話の一節を読んでいるかのような読後感があります。




年の暮れということで、卓上に飾れるカレンダーも販売中。
ぜひお手にとってご覧ください。

D:ナカノ ジュン『海を見ていた』




初年から継続して#filmisnotdead に参加しているナカノジュンさん。
一貫してモノクロームの手焼きプリントを発表しており、そのどれもが静かに流れる日々を紡いだ作品です。




コロナ禍により生活様式を帰ることを余儀なくされる中、「以前撮っていたものが急によろよそりく遠くな」ったことを感じたナカノさん。今回の作品はすべて、近所の見慣れた海辺の風景が収められています




ナカノさんの作品はなんだか文学的で、一枚の作品から物語が始まりそうな(それもごく親しみのある)予感と、前後の時間の広がりを感じます。

丁寧に自らの手によって焼かれた写真は静謐さを湛え、どんな状況にあってもきっと変わらないであろう陽の光や波の音が画面から伝わってきます。まるでこの壁の向こうにこの海がつながっているみたいです。

E:東亜現像




自宅にモノクロの暗室を構える東亜現像さんは、大量のモノクロのストリートスナップ写真を出展。展示方法もあいまって、さながらアトリエを覗いているかのよう。
実は今回の#filmisnotdead のメインビジュアルの写真は、この東亜現像さんの暗室に伺って撮影させていただいたものなのです。現在は引越しをされているのですが、あんなに雰囲気のある暗室から目の前の写真が生まれていったのかと思うとワクワクします。




適度にコントラストの効いたモノクロ写真の粒子からは、少し湿り気のある空気感が漂ってきて、すぐにでも街に繰り出したくなるような臨場感がビシビシと伝わってきます。




街に溢れる色はその時代時代で移ろうものですが、その街並みをモノクロで記録することは、色褪せない普遍的なものとして風景を残すということなのかもしれません。東亜現像さんの捉えた数々の写真は、ベトナムの風景や東京の風景が混在していても何の違和感もなく、新陳代謝を続ける街のありのままの姿を写し出しています。

プリント作業はなんと搬入当日の未明まで続いたのだとか。
時間を気にせずプリント作業に没頭できるのも、自宅暗室のいいところですよね。




J:なっちゃんはカメラでパンダ/masaty

Jブースでは二人のフォトグラファーが共同出展。





なっちゃんはカメラでパンダ さんは上海の街をモノクロでスナップした作品を展示。
一見断片的に捉えられた写真が並んでいるように見えますが、時折街中を歩く黒い犬の写真が差し込まれています。




この犬の写真が不規則に配置された写真を繋ぐ役割をしていて、一連のスナップのストーリー性が演出されています。




お隣のmasatyさんの作品は、カラーのポートレイト。
いい具合に肩の力が抜けた、日常のワンシーンのような軽快な写真が並んでいます。




点数は少ないながら、写真の点数以上にモデルのパーソナリティーが見えてきて、他人のはずなのに不思議と親近感が湧いてきます。

K:フィルモ『フィルモイズノットデッド』



前述の斉藤和紀さん、ナカノジュンさんがそれぞれ出展経験のある写真がメインのギャラリー、千歳烏山のギャラリーフィルモさんのブース。ギャラリーのある千歳烏山とその周辺の街並みを捉えた写真が並んでいます。




写真に写る風景は、光の具合から見て夕方の写真。
下校する学生や夕飯の買い物帰りであろう人たちが自転車で行き交う様子が写し出されていて、自分の地元ではないのに懐かしさを感じます。写真を見ていると、夕暮れどきの全てを受け入れてくれるような暖かい光に包まれる感覚を覚えます。




ギャラリーの佇まいも、まるで街の小さなカフェのようで親しみを覚えます。
ブースにはギャラリーフィルモさんのフライヤーも設置されていますので、写真好きの方はぜひ遊びに行って見てください。




L:石野 弘晃



国内外で展示活動を続けるフォトグラファー、石野弘晃さんの作品。
ライカのM2と使い捨てカメラでフランスの街を捉えたスナップ写真が並んでいます。




変な言い方かもしれませんが一見すると海外とは思えないほどどこか見覚えのあるような、親しみのあるシーンが切り取られています。

それは海外であっても、撮影者自身がその街に溶け込み、その街と人々の営みを自然な視点で捉えているからこそ。ベンチに腰掛けている女性や街中を歩く恋人たち、枯葉の上に佇む古い椅子などは、どれもその地では普段と変わらない光景です。




コロナ禍で海外に行くことが難しい状況の中、石野さんの写真は遠くの地に暮らす人々の日常を擬似的に体感させてくれます。




M:Keiph





Keiphさんは年間を通して収めた何気ない生活の1コマを、スペースいっぱいに広げて展示。
この一年の足跡を辿るような日常の断片が目の前に広がっています。




春の桜や秋の落ち葉など、その季節ごとの色を感じさせる写真が多く、いつもとは違った2020年であっても、忘れそうな季節の色を思い出させてくれます。




春から夏、秋、そして冬へと季節が移るにつれて、時に寂しさも感じる写真もありますが、誰にでも共感できる風景だからこそこうやって眺めていられる。まるでKeiphさんの記憶の中を覗いてみているかのようです。



N:シブヤクンペイ『from "渋谷" to "Shibuya"』





東京五輪の開催決定を機に、大きく様変わりした渋谷の街。
シブヤクンペイさんは、現在もその変化の最中にいる渋谷の姿を記録したスナップをネガに焼き付けています。




写真は渋谷の街の一部を捉えた写真が、変わる前、変わった後と縦軸で並んでいます。
かつてホームレスが根城にしていた宮下公園は高級ブランドが立ち並ぶ商業施設に、老舗の街中華もコロナ禍の影響か廃業しているのが一目瞭然です。




変化の流れの最中にいるときは通り過ぎるだけでも、こうやって「点」で表されると、そのあまりの変貌ぶりに驚かされます。写真で記録するという行為そのものの尊さを教えてくれるような作品です。




#filmisnotdead は12/26(土)まで開催中!
ぜひ足をお運びください。


#filmisnotdead 展示紹介part2はこちら


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#filmisnotdead -Film Photography Exhibition-
2020.12.20(日)〜 12.26 (土) 1週間

DESIGN FESTA GALLERY EAST 101/102/201/202/artpiece
全36組
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