吉田 望 『MUSIC』
吉田 望 『MUSIC』
2020.2.25 - 2020.3.2
[ WEST 2-B ]
絵画作品を制作されている吉田さん。しかしこの展示会は単に絵画を鑑賞するようなものではありません。絵画という枠を超えて新たな作品へと生まれ変わり、その現象を鑑賞することができる空間がここにはあります。
スペースには変形キャンバスに描かれた絵画が、大きいものから小さなものまで多数展示されています。具象的でもあり抽象的な絵画は、一つのイメージに留まらずいつまでも頭の中で変化していきます。
展示方法がユニークで、1点1点作品を鑑賞すると絵画作品として楽しめますが、展示全体の様子は立体オブジェの展示のような印象を受けます。絵画が描かれた物体を使用したインスタレーションとも思えます。
こちらの絵画からは花が生えています。使用する素材の枠も無く自由な制作を伺えます。
近くで鑑賞してみれば色彩豊かなポップな絵画。そしてサイケデリックな幾何学図形やモチーフに幻覚作用のような効力も感じます。
吉田さんは「絵画作品の空間へのアプローチ」を探究しているとのこと。そして今回の展示でも空間というキーワードは展示を見ればすぐに感じることができます。また、音楽を作る手法の一つである「Remix」を制作の中にも取り入れているようです。その制作とは、普段は交わることのないモチーフとモチーフを画面の中で同時に出現させること。そしてそこで生まれる新たなリズム感や化学反応を鑑賞者は体験することができます。
こちらは絵画の側面にはネジが埋め込まれています。パンクのようでもあり、図太いベース音が聴こえてくるようなインパクトを感じます。
床にはうさぎのぬいぐるみがいます。可愛らしい姿ですが、他の作品との組み合わせとのアンバランス感によって不思議な気持ちにさせられます。
様々な形、色、素材、配置。これらが生み出すリズムが部屋の中を駆け巡り、鑑賞者にいつまでも新鮮な気持ちを与えてくれます。展示されているホースやテープは、空間内のリズムにメロディを乗せたようで、より空間を華やかにしています。
吉田さんの展示は、展示場所によってまた違った見え方をするのではないでしょうか。今回の展示で感じられる印象は、今回の展示でしか味わえないものだと思います。ぜひ、実際に足を運び、本展示『MUSIC』を鑑賞してみてはいかがでしょうか。
スペース詳細▽
[ WEST 2-B ]
Staff Chi