長井ゼミ9期生 『NN』
長井ゼミ9期生 『NN』
2020.2.28-2020.3.1
[EAST 101]
東京造形大学 グラフィックデザイン専攻領域 長井ゼミナール9期生による、タイポグラフィ作品展が開催中です。
にわかに作字ブームが到来している昨今、世間的にタイポグラフィへの関心も高まっているのではないでしょうか。
「感情(Emotion)」をテーマとした本展では、文字(言葉)と感情を視覚的に表現された作品が一堂に会します。
一部になりますが、展示の模様をご紹介いたします。
「感情(Emotion)」をテーマとしている本展。
大判のパネルに印刷された作品の数々には、統一されたキャプションと、使用した素材のピクトグラムが記されています。
タイポグラフィといえば、デジタルで制作された作品を想像する方も多くいらっしゃるかと思いますが、展示空間を見渡すとその概念を見事に撃ち壊す作品がずらりと並びます。
一部になりますが、個人的に気になった作品をご紹介いたします。
《後悔(Regret)》/素材:プラスティックボード
「うえっ」となりながら、「あー!」となりながら後悔に苛まれる、そのやり場のない感情を、プラスティックボードを削ることで文字に落とし込んだ作品。
その悔しさをがりがりと掘ることで、そして言葉にすることで生まれた象形は、うねうねと画面をさまよい、そのやるせなさをありありと表現しています。
《嫉妬(Jealousy)》/素材:納豆
「1度その念に駆られてしまうとなかなか頭から離れてくれない。」
キャプションに記された言葉通り、後から後から粘度を増し、囚われてしまう。
大胆にも納豆で[JEALOUSY]とメッセージされた作品からは、嫉妬の感情そのもの、もしくは嫉妬という感情に対してシニカルな印象をぶつけられているようにも感じられます。
《笑う(Laugh)》/素材:水性ペン
心からの笑顔が咲く様子を水性ペンを使用して表現されたという本作。
笑顔がほころぶ瞬間は、顔がクシャリと崩れ、しかしながら顔から陽の感情が溢れ出ます。
水性ペンを滲ませることで独特の滲みが表出し、「笑」が膨らむことでふくふくとした福のイメージが温かく表現されています。
《穏やか(Gentle)》/素材:お茶漬け
「穏やか」この言葉からお茶漬けが連想されたことにハッとした方も多いのではないでしょうか。
温かいお茶漬けを食べると、心も体も温まる。その優しさが情景がすっと思い浮かび、日本独特の感覚を想起させてくれます。
総勢14名のグラフィッカーの卵たちから生み出されたかけがえのない文字(言葉)の数々。
様々な感情から想起される視覚情報は、とても柔軟性があり、十人十色それぞれの捉え方があるということに気付かされます。
デザインとは端的に、考えを伝達する問題解決の手段でありますが、その表現方法は非常に柔軟で、本展示ではデザインには無限の可能性があると改めて感じさせてくれる作品展となっておりました。
本展は3/1(日)まで。
<スペース詳細はこちら>
[EAST 101]
staff kome