其の子。/ Marin Mays
『メランコリック・ディストピア episode 1.』
2019.12.13-2019.12.15
[WEST 1-A]
メランコリックな世界観を持った其の子。さんと、ディストピアのイメージを描くMarin Maysさん。
約1年前、絵とは全く関係のない場所で出会った二人が、互いの作品の中で見出した共通点をテーマとし、この小さな空間にその世界が誕生しました。
決して明るくはない、しかし二人が描き出す世界には必ずどこかに一筋の光が差し込んでいるように感じます。
お互いにフォトモデル活動もしているというお二人。実は出会いはそのイベントだったそう。
その後、お互い絵を描いていることが判明し、急速に仲を深められたのだそうです。
メランコリック(憂鬱)な作風を得意とする其の子。さんは、華奢な線画に加えて、少しくすんだ優しい淡色が特徴。
ガラス玉のように光る少女の瞳からは、アンニュイでありながら決して暗いわけではなく、慈愛や優しさのような優しい包容力も感じられます。
そして其の子。さんの作品の度々登場するのは、羊のツノを持った少女の作品。
夢から覚めた瞬間は、ふわふわとして少しくすんだ世界のようにも感じますが、まどろみの中に浸っている時間も心地よい。
この優しい表情をした羊たちは、そんな優しい世界を表現しているようにも感じられました。
そして、少し毒々しく非現実的な世界観を展開されているMarin Maysさん。
其の子。さんとは対照的に、彼女は男の子のモチーフを多用されています。
シュルレアリスムを彷彿とさせるイメージたちは、まさにディストピア。
少し鬱屈とした非楽園的世界観の集積のよう。
しかし、Marinさんの作品の中には悲観的なモチーフを多用されているように感じられますが、そこには希望や優しさの余白があり、生きることの刹那や彼女の死生観まで感じとれます。
ありのままの自分で生きていてもいい、明るく楽しく生きれる世界がそこにある、そうメッセージされているようにも感じました。
対照的なモチーフ描き方、モチーフで作品を制作されているお二人。
しかし、不思議とその違和感はなく、絶妙に混じり合ったメランコリックなディストピア。
甘やかでちくっとした切なさが胸をくすぐり、お二人の作品を前にすると様々な感情が湧き上がります。
そしてそのテーマからは想像がつかないほどに穏やかであたたかく、優しい時間が空間を支配していました。
作家情報
其の子。Tw:@Sonore_Garden
In:@sonore_garden
マリン・メイズ
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