4人展 『空洞です』
2019.12.15-2019.12.17
[EAST 303]
多摩美術大学油画専攻に在学中の4名によるグループ展が開催中です。
タイトルに込められた「空洞(≒穴)」には、無限の想像力を感じさせ、それでいて自由すぎない拘束力を感じさせます。
4名がそれぞれの構想を形にした「空洞」のイメージとは。
吉田圭祐
「キャンバスを作るところから制作を始める」という吉田さん。
キャンバスを大胆に縦横に切り、それを編み込んでいくことでキャンバスを完成させています。
造形されたゆるい曲線は計算されてできたものではなく、編み込んでいくうちに自然に出来上がった形なのだそう。
編んだ後に着色しているとは思えないほど繊細で美しい手仕事が光ります。
また、パッチワークのように配置された矩形のカラーは
野村かなめ
遠目で見ると、何かのシルエットのように見える作品群を展開されている野村かなめさん。
木のように見えたり、人の形のように見えたり、はたまた、なにものにも見えないようにも感じ、人の偏見や認識を問うているようにも感じます。
近づいて見てみると、輪郭がぼんやりとぼやけ、焦点が合っていないようにも見え、その曖昧さを強調しているよう。
洗練された世界観とその視点に心動かされます。
外波山颯斗
様々なサイズ感のキャンバスを使用し、抽象画を展開されている外波山颯斗さん。
構想をもって描かれているわけではなく、心地の良い場所に色を乗せていくというのが彼の描画スタイル。
中には試行錯誤の末、画材で幾重にも塗り重ねられた作品も。
また、日々描かれているというドローイング作品も手に取れ、画材や紙など、様々な手法を試みられていることがわかります。
情動的でどこか落ち着いている彼の作品は、静かで優しく、時に荒々しく、見ている者の状況に合わせて柔軟に見方を変えてくれるようです。
下田航大
そして本展の発起人である下田航大さんの作品は、人の顔を象ったような布の図。
そこに存在しているのに存在していない、まさに「空洞」となっているマスクは虚無なのでしょうか。
「心にぽっかり穴が開く」という表現がありますが、それを顔に置き換えることでその無情感を如実に可視化しているようにも感じます。
人間の普遍的な心の部分が、布とその空間によって見事に表現されているよう。
美大に通い始めて早半年以上、初のグループ展とは思えない密度の高さに驚くと同時に、4者4様のコンセプトの集積は全く違う手法にも関わらずすんなりと溶け合い、混じり合います。
その静かな時間にじっくり身体を浸し、作品との心の対話を図ってみてはいかがでしょうか。
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[EAST 303]
staff kome