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伊志生衣大 『IoIshiki Solo exhibition』



伊志生衣大
『IoIshiki Solo exhibition』
2019.10.7-2019.10.11
at WEST 1-A

女子美術大学洋画専攻を卒業し、映像やメディア商品の制作などマルチに活動の幅を広げている作家 伊志生 衣大さんの個展が、WEST館の最小スペースで開催中。

小さい部屋にサイズのあるペインティング作品が並び、静かながら迫力を感じます。





学生時代は植物画を制作していたという伊志生衣大さん。
卒業後初となる今回の個展でも、植物を用いた作品が並んでいます。

ただし一般的な「植物画」のイメージはそこになく、画面全体を覆い尽くすほどの植物は混沌としていて、遠目からは抽象画のようにも見えます。




一つひとつの作品をじっくり見てみると、そこに人物の表情が浮かび上がってきます。

趣味で植物を大量に買い込んでいるという伊志生さんは、その群れの中に生と死という相反する概念が混在していることを見出しています。それこそが画面全体を覆う混沌としたトーンはそこから由来しているものなのかもしれません。

そんな混沌とは対照的に、この群れの中に存在する人物は柔和な表情をしているようにも見えます。




このスペースにしては珍しく、ほとんどがF15号ほどの大きなサイズの作品がならび、四方から感じる圧がすごいです。ついのように並ぶ二つの作品は左側が『浅い夢』、右側が『残留』という作品。




近づいて観察してみると原画の息遣いが確かに感じられます。
こちらは『浅い夢』の一部分。

油彩とアクリルを使用した画面からは筆の走った奇跡、艶かしいほどの色彩、マチエールが作られており、一点一点がとても深く、奥行きのある作品です。

『浅い夢』はまさに、体は休んでいるのに脳は覚醒していて、現実なのか夢なのかが曖昧な感覚、その最中にいるようなぼんやりとした淡いトーンが表現されています。


小さいスペースとだけあって、画材の匂いまで肌に感じる濃密な展示となっております。
今週末10/11(金)まで開催中ですので、ぜひ体感しにきてください。



【展示スペース:WEST 1-A】