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早稲田大学建築学科2年 『三編展』



早稲田大学建築学科2年 『三編展』
2019.8.6-2019.8.7
[EAST 201,202]

『創作とはどのように為されるべきか。』
具象的なものから、感覚的、そして心理的なテーマまで、授業内で毎週課されるテーマは一見建築とは関わりが希薄に感じられるものばかり。
概念的で抽象的なテーマに挑む学生たちの答えとは。

毎週ひとつ出されるテーマは、計23個に及びます。
毎週課題提出、講評会があるとのことで、かなり骨の折れる作業を行われてきたみなさん。
基本的に表現方法は自由であるため、ドローイングから立体作品まで、各々の表現方法に個性が光ります。




毎週ひとつ出されるテーマは、計23個に及びます。
「投影」という意味を今一度捉え直し、新しいプロジェクションマッピングを、映像ではなくハンドドローイングによって仕上げよ。という『リ・プロジェクションマッピング』というテーマ。
こちらの作品では、人が日用品に触れる際に発せられる「オノマトペ」を実際に手で触れる箇所に書くことにより、モノと行動の関係性が可視化されています。
シンプルな静物でありながら、一目で行動を映像的に捉えることができるアイデアが光ります。



こちらは15cm四方の立方体の中に外部から光を取り入れて箱の中で光を演出せよ。という『光の箱』。
箱の空間の切り取り方も十人十色で、こちらの作品では下方1cm程度の隙間のみから漏れる光が非常に印象的。
中に入ったビー玉が空間の奥行きを感じさせ、光の動きが見る角度によって変わる面白さがあります。
シンプルでありながらとても洗練された上品なボックスです。





『CHRONOCAOSを発見せよ』
「Chronocaos」とはコールハースによる造語であり、ラテン語で「時間」を表す「Chronos」と「混乱」を表す「Caos」を組み合わせたものだそう。
都市に潜む時間錯誤的、または時代錯誤的な状況をドローイングによって切り取って採集せよ。という難解な課題。
こちらは行書体で紙面に自由に書かれた書と、楷書で規則正しく書かれた般若心経が印象的な作品です。
正義と自由が混在する世の中で、一体何が正しいのか、そんな哲学的な問いかけを投げかけられているような気がしました。



概念的なテーマ性の中、具体的なイメージなテーマもあります。
アンデルセン作の『絵のない絵本』のタイトルを拝借し、手に取れる素材を用いて、その素材そのものの魅力が子供の好奇心と大人の観察心をくすぐるような絵本を制作。
紙的素材を用いて作られた物から、丸太の空洞部分に着目して制作されたものまで、文字通り遊びごころがくすぐられる作品が並びます。



中には芸術的視点のテーマも。こちらの『玄人のレディメイド』というテーマでは、イサム・ノグチとマルセル・デュシャンのそれぞれの玄人性に着目し、学生自身が各自玄人となり、身近な環境から彫刻たる、もしくは芸術たるものを描き出せ。という課題。
非常に概念的で難解な課題ですが、こちらの作品ではデュシャンの代表的な作品『泉』に蛇口が付け加えられているドローイング。
「既成」の作品に手を加えレディメイド化しているようにも感じられる作品からは、作者の玄人たる意思の強さが感じられます。



観察し、与えられたテーマについて熟考し、表現する。
建築設計の中には、物理的で具象的なものだけではなく、人が生きる上で思考する概念的なものや教養、そしてその寛容的な視野の広さが必要なのだと考えさせられます。
そしてテーマを与えられない限りその問題について深く考えたことがない、そんな貴重な機会に挑んだ学生さんたちの熱意が作品を通じて脈々と伝わってきました。

本展は8/7(水)まで。

皆さんは、各テーマについてどのように考えるでしょうか。



<スペース詳細はこちら>

[EAST 201]


[EAST 202]

staff kome