森田 玲花 『あなたは砂場でマルボロを』
2019.1.12 - 2019.1.14
[EAST 304]
タバコを吸い始めたきっかけは、彼に「最後の」一本を吸わせてもらったこと。
寂しさを埋めるために毎晩違う男と夜を共に過ごす女性。
…
森田玲花さんが、著書『あなたは砂場でマルボロを』の世界観を、インスタレーションでもって可視化したという本展示。
主人公の女性が、その行動とは裏腹に、痛々しいほど貪欲に一途な愛情を求めるその姿に胸が締め付けられます。
壁一面に貼られた原稿用紙の数々。
そこには同著の原稿や一節が書き記されています。
女性の「寂しさ」と「愛情」が飽和している様子が伺え、
一節一節を読み進めるうちに感情移入していき、胸の内にじわじわと言葉が染み込んでいきます。
同著でキーとなる「マルボロ」が山のように積み上げられた様子。
空き箱の中にはタバコに見立てた紙の巻物が入っており、手に取って広げることができます。
この紙には詩が書かれています。
小説の具体的なモチーフと詩を可視化することで、作品の世界観がより広がります。
森田さんが紡ぐ虚しさ、寂しさ、切なさ、苦しさ。
日々を生きていく中で、私たちはどこかに「生きづらさ」を感じていて、心の奥底では常に優しさや愛情を求めているように感じます。
当著で主人公の女性が心の拠り所を求める姿は、そんな人間の心の純粋な部分をありありと映し出しているのかもしれません。
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staff : kome
