ミナミ
『tales』
2016.5.2-2016.5.4 at EAST 203
tale="おとぎ話"
空想の世界をイラストと文章で表現した展示『tales』。
その物語の一片をご覧頂きましょう。
203という限りある展示スペースには、
一つのショートストーリーに一つのイラストレーションというスタイルで
全5編の作品が並んでおります。
つまりはその物語の数だけ世界が存在し、その一つひとつについて空想してみることが出来るのです。
義足の少女と長身の男。
年は離れていても、繋いだ手の描写から二人の深い関係性が読み取れる。
文章を読み解いてみると、男の持つ強い決意と愛情が表れています。
その感情に戸惑いながらも手を引かれる少女の表情も絶妙。
愛情表現という言葉を使えば幾分かマイルドな響きとなりますが、
愛のカタチとは無限に存在するもの。
どちらかがどちらかを補食することを愛情の発露とするならば、
その逆だってあり得る。
そうすることが当たり前かのように、文章が綴られ、世界観が端的に可視化されています。
354日間落下し続けるという途方もないシチュエーション。
超次元的な時間、空間はイラストによって見事に表現されています。
そしてその最中に絵の中の女性は何を想うのか。
未体験の領域に飛び込んだ時の高揚が文字で綴られ、目を閉じれば主観的にその世界へ飛び込めるよう。
ほぼシンメトリーのニ項対立の構図は天使と悪魔、相反する存在が一つの画面に共存。
日常の平穏はいかにして守られているのか、そこに潜むストーリーが描かれています。
まるでキャラクター小説のページを一枚一枚めくるような展示会、いかがでしたでしょうか。
文章とイラスト、この二つが掛け合わさることで世界観は如何様にも膨らませることができる。そう実感した展示でした。
【出展スペース:EAST 203】
DF STAFF isaka