DFGスタッフ 'こうたろう' のブレない仕事 第四話 「鬼」
デザインフェスタギャラリーのWEST館とEAST館の間に位置するお好み焼き屋、さくら亭をご存知だろうか。
日夜多くの来客で賑わっている原宿のオアシスだ。
海外からの来客も多い。
そのさくら亭の玄関口には、アートが所狭しと展示されている。
一体、誰がこんなことを……?
その疑問はこのブログ記事 こうたろうのブレない仕事 シリーズで明かされるだろう。
ブレない仕事に定評のあるこうたろうであるが、
裏方に徹する彼のことを知る者はまだまだ少ない…
さて。
今回、さくら亭のエントランスギャラリーを新たに飾るのは、白鳥ちたるさん!
白鳥さんは 3/1-3/7 の期間、WEST 1-B で出展されていました★
「今日の作品も素敵ですね。」
私は今日もこうたろうの仕事を眺めていた。
今や違和感なくこの時間を楽しんでいる自分が居た。
このスペースは入口からもっとも目立つ場所。
配置にも十分に気を配る必要がある。
こうたろうのことだ。
無論私が口出しをする余地など微塵もない。
少し距離を置いて眺めるこうたろう。
彼が満足げな表情を浮かべたことで、私も安堵した。
私は彼に聞いてみた。
「さくら亭の玄関口に相応しい作品ですね。華やかでありながらミステリアスな雰囲気を感じます。」
彼は答えた。
「うん、人の目を引く色彩で、華やかだ。その実シュールレアリスムのような要素をふんだんに感じられる。どっしりと構えて前に立つと、いくらでも思考をめぐらせることができる。まさに現代のアートだ。」
作品との距離が近い。普通には考えられない近い距離だ。
まるで何かに取り憑かれているようでもある。
しかし、私には彼が何をしているのか容易に予想が出来る。
「視て」いるのだ。
一人として同じ癖のない筆致、混色、色の重ね方、マチエール、こうたろうはそこから作家の性格を見抜くことも出来るという。
飾るだけが自分の仕事ではないのだと、黙したまま体現しているようだった。
彼に支えられている作品、そして作家は幸せだと、心から思う。
彼は本当の意味での仕事人なのだ。
——それから10分ほど経った頃だろうか。
搬入作業も順調に進み、位置の細かい修正を行う。最終段階だ。
実際、ここからがもっとも神経を使うところでもある。
私は用を足すべくしてトイレへ向かった。
用を足しながら、いつものように、
こうたろうに今日のファッションについて質問をしようと考えていた。
彼は違いの分かる、オシャレな仕事人なのだ。
ほどなくして戻ったが、
そこにはそんな私の余裕など消え去るような光景があった——
これが、修羅の道を地で行くこうたろうの本来の姿……そんなことを思った。
仕事に人生を懸けて、作家を影で支え続けた彼は「本当の自分」を見失い何か異形のモノに飲み込まれようとしているのではないだろうか!
そうだ。私は彼のプライベートを知らない。
プライベートでは、常人には考えられないほどの孤独を感じているのかもしれない。
独り身なのであろうか。何か息抜きをする術は持っているのか。睡眠はちゃんととれているのか。
わからない。私は彼を知った気になっていただけだった!
(前回フラボアを来ていたじゃないか!)
(茶目っ気もある普通の人間のはずなんだ!)
そんな言葉で、私は自分を落ち着かせた。
すっくと立ち上がるこうたろう。
そこにはいつもの彼の姿があった。
極度の緊張状態が解かれ、霧が晴れるように私の視界が広がった。
……私の見間違えかもしれない。
そんなはずがないことはわかりきっていたが、そう自分に言い聞かせた。
ほら、何のことはない。
いつも通りの仕事人・こうたろうではないか。
しかしこの日、私はもう、彼に満足に話しかけることはできなかった…。
次回は、彼のプライベートについて触れてみようと思った。
白鳥ちたるさんのキラキラと光る宝石のような絵画作品。
入口入ってすぐに並んでいるので、ゆっくりとご鑑賞ください。白鳥ちたる
画家・イラストレーター
WEB : http://creatty.com/chitaru
TWITTER : https://twitter.com/chitaru3373
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お腹がすいたときは!
【 お好み焼き・もんじゃ焼き さくら亭 】
【 こうたろうのブレない仕事シリーズ 】
こうたろうのブレない仕事 第一話「金縁眼鏡」
こうたろうのブレない仕事 第二話「マスタード色のカーディガン」
こうたろうのブレない仕事 第三話「フラボアを着た職人」
こうたろうのブレない仕事 第四話「鬼」
こうたろうのブレない仕事 第五話 「禁断の強アルカリ洗剤」
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