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桜和子『RETRO_GRAHISME』


桜和子
『RETRO_GRAHISME』
2016.1.19 - 2016.1.25 at WEST 1-A

日本各地の伝統的な祭礼から、祭りの場における色彩にフォーカスした桜和子さんの個展『RETRO_GRAHISME』が開催中です。

祭りを彩る数々の色からは、それぞれの地域の特性が見えてきます。






東京都八王子市にある田守神社のシーン。
黒と赤の渋めな色合いの装束に、一転して頭上にはカラフルな飾りがあしらわれています。

この神社の獅子舞は伝承ではおよそ200年前の江戸時代後期、文化年間に始められたと伝えられています。




こちらは長野県上田市別所温泉地区の岳の幟(たけののぼり)という祭事から。
作品では写真にポスタリゼーション加工がされ、衣装のビビッドさが際立っています。

岳の幟(たけののぼり)は室町時代の干ばつ期に雨乞いをしたことがきっかけで始まった祭礼で、その歴史は500年にも渡ります。




住民の方々が交替で、数十本にも及ぶ色とりどりの反物と竹竿でできた長さ約6メートルもの幟のぼりをかつぎ、標高1250メートルの夫婦岳山頂から別所神社まで温泉街を練り歩きます。




のぼりと同様、下駄の鼻緒、浴衣、タスキや笠に至るまで、身に付けるものすべてがカラフルです。





奥州市金津流石関獅子踊をうつした3枚は獅子の衣装に着目。 どちらの写真からも鮮やかな赤が目に飛び込んできます。 こちらも160年余の伝統ある祭礼です。







東京都北区の王子神社に伝わる王子田楽からの3カット。
踊り手の緑の衣装が印象的です。


王子田楽は一般の田楽が農耕儀礼であるのに対し、魔事災難除けを祈念する魔除けの田楽として赤い紙垂れを付けた花笠をかぶって躍られます。作品にも宙を浮かぶようにいくつもの赤い花笠が見て取れます。




盛岡市の盛岡さんさを撮影した作品は躍動感があります。
参加する地区により衣装も異なり、街を練り歩く様子は圧巻で、その盛り上がりの瞬間をとらえるとともに、ここでも鮮やかな色彩が強く目に焼き付きます。


規模の大小に関わらず、日本には無数の祭礼が存在します。
必ずと言っていい程目にする赤い提灯をはじめとして、今回の展示を通して『赤』という色が強く印象に残りました。

もちろん赤色だけではなく、装束や飾り付けなどどれもが華やかで、このような派手さには古来の私たちの祖先が祭礼に託した祈りや願いのようなものが込められているのだと感じました。

海外からの旅行客が増え東京オリンピックを控えるいま、私たちの暮らす『日本』という国を知ることができる展示です。ぜひこの機会にお越しください。


【使用スペース:WEST 1-A】

DF STAFF isaka