Ryo Matsumoto
『1st Solo Exhibition “Pieces” feat. Natsumi Ikewada』
2015.11.14 - 2015.11.16 at WEST 1-A
"Pieces"=『欠片たち』と題されたRyo Matsumotoさんの個展。
瑞々しい女性画や人間の黒々とした部分を表現したイラストなど、作家のいろいろな側面が散りばめられた作品展です。
会場では天井から今回の展示タイトル”Pieces”のアルファベット一文字一文字が吊るされ、壁面にイラスト作品が並びます。
甲冑を纏った武士とかわいらしい犬のつかの間の交流を描いた作品。
秋色を付けた紅葉が舞い、手前のススキと合わせて季節が表現されています。
画像では伝わり辛いですが、兜の奥に見える瞳はとても優しく、暖かみのある表情をしているのが分かります。
次に並ぶのがこちらの二作。
右はご存知夏目漱石の肖像画で、細部までディテールがきめ細やかに描かれていて印象的。
『存在』と題された左側の作品。キャプションには「確かにそこにある。息づいてるもの」という言葉が添えられています。言葉ではとらえどころのない『存在』という概念が、深紅の花が蕾からいまにも開かんとする様子をモチーフに表現されています。
黒く塗りつぶされたキャンバスに、カラフルな線で輪郭が形作られているこちらの作品。
タイトルは『人』。
プラスの感情、マイナスの感情、喜怒哀楽など。無表情でありながらも複雑に絡み合う線が人の形をあぶり出し、多面的な表情を持ちながら日々を生きる人間という存在そのものが象徴的に描かれているかのよう。
これまでの作品とは趣向が変わり、絵本のような世界観。
どこか淋しげにこちらを振り返る目線からは哀愁が漂います。
作品の制作過程が記されたポートフォリオも。
細部までこだわり抜いて描いている様子がつぶさに分かります。
漫画のようなタッチのイラスト作品は、それぞれ確立されたストーリーの一場面として見ることができます。
人物の表情も個性的で多彩。
「一つひとつのPiece(カケラ)を集めて」催された初の個展。
それはまさに作家としての集大成とも言えるような展示で、一人の作家が描いているとは思えない程の引き出しの多さに驚かされました。
展示は本日で終了となりますが、この次もそのまた次も、どんな作品が見られるのか楽しみです。
【使用スペース:WEST 1-A】
DF STAFF isaka