『月』
WEST 1-B:2015.10.25 - 2015.10.27
いつか見た風景が頭の中にフラッシュバックした時のような、そんな感覚を覚えてしまうameさんの写真作品。ご本人にとって初めてとなる個展の模様をレポートします。
誤解を恐れずに言えば、ameさんの作品を一目見て抱いた印象は『曖昧さ』。
この風景はいつどこで、誰と見たものだろう?
現実にある人、現実にある場所を写しているはずなのに、ameさんの写真には白昼夢を見ているような浮遊感のようなものがありました。
そのような感覚は、これがフィルムによって表現された写真だからかも知れません。
フィルム写真特有の色表現、フォーカス、さらには手軽なコンパクトカメラを使うことによって引き出されるモデルの自然体な表情。
それらの要素がameさんの持つ無二の世界観を形作っています。
写真を撮り始めたころはデジタル一眼を使用していたというameさん。
あえてフィルムを使用した理由を訊ねてみると、「あとで消せるデジタル写真と違ってちょっとずつ撮るフィルムの方が合っている。あとで見返すのも楽しい」とのこと。
一つひとつ、頭の中に降ってきたイメージを丁寧にフィルムに焼き付ける。それがameさんの制作スタイルだそうです。
写真と一緒に添えられた言葉も魅力のひとつ。
これらの言葉は「月を見ている時の自分の気持ち」を表現したもの。
こちらは今回の展示のDMにも使われている一節です。
ameさんにとって写真とは「安心材料」。
不確かな人間の記憶を肩代わりしてくれる存在で、見返せば当時の情景を思い起こさせてくれる。それがameさんにとっての写真の魅力なのだと話してくれました。
ame『月』は明日までの開催となります。
最後に、ameさんの作品を表していると思った印象的な言葉を紹介します。
『いつだって空想と現実の境目にいるのだ』
【使用スペース:WEST 1-B】
DF STAFF isaka