「抱きしめたままでは、這い上がれないだろう。」
信じて疑わず崇める感情を【信仰】とし、その中で溺れている者たちを表現する。
嗚倉さんが表現しているのは、人にまつわる事、とりわけその心情や感情。
2012年に、同じスペースで個展をした時から彼女の作品を見ていますが、それは変わりません。
嗚倉さんはイラストや写真で表現活動を行っていますが、人物の表情や構図、仕草、色彩或いは風景から、強く「感情」が伝わって来ます。
今回は、イラストと文章に絞り、それぞれの絵が独立しながらも互いに関係し合い、すっきりとまとまった展示になっています。
斜めを向いた人物から始まり、後半に色が渦巻く三作品を挟んで、正面向きの涙を流す少年の姿で展示が終わります。
展示を重ねる度に、嗚倉さんと作品との距離感が少しずつ変わり、作品の見せ方/展示のまとめ方が洗練されてきているように思います。
展示スペース内には文章も添えてあるのですが、説明しすぎることはなく、「似非信仰」というどきりとするような意味深なタイトルを、見る人が好きに解釈する余地が残されています。
自分だけのストーリーを好きに想像しながら、嗚倉さんの綺麗な色使いを味わうのが、おすすめの鑑賞法です。
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DF STAFF KOZUE