まつもとさち、ひるたたかひろ
いとうとしや、たかのゆりな
『四人展』
WEST : 2-D にて開催中
1枚目の写真を思い出して欲しい。
「おやおや」という吹き出しがあったはずだ。
そう、今展示会のテーマは【おやおや】
ぼんやりとしたイメージを伝える言葉から、
生まれた作品が並ぶ。
たかのゆりな |
たかのゆりなさんは「旬」の野菜を取り上げて、
計12枚の絵画作品を展示。
作品タイトル部分には、季節と野菜の名が添えられている。
「January」 ふきのとう 菜の花 ごぼう みかん たかのゆりな |
立派に大きく育った食べ物の中に、
小人が紛れている。
小さな彼の身体が対比となりて、
食べ物の偉大さが強調される。
「本当のこと言うとね」 まつもとさち |
女の子モチーフの作品を数多く手掛ける
イラストレーター/まつもとさちさん。
和紙にインクジェットプリント。
またモデリングペースト、メディウムも使用し、
出来上がった特徴的な画面は写真越しでもうかがえるはず。
「溜息」 まつもとさち |
女の子の口からはスライムのような溜息が溢れ出ている。
彼女は、編み上げた溜息の上に頭を投げて、
水面にぷかぷかと浮いているようだ。
溜息とは吐いたら「はいさようなら」
というものではなく、
どこまでも自分と繋がっているような気がする。
幸せが逃げるよ、とか聞いたこともあるけど。
こんな情景を見つけてしまったら、
一息つきたくなる。
ひるたたかひろ |
私はふと花札を思い出したが、
ひるたさんに直接お尋ねしたところ「マッチ箱」であった。
昔はよくストーブもマッチで着火したものだが、
やはりライターに変わってしまったと思う。
しかし、マッチ箱のフォーマットは愛らしい。
そして描かれたイラストも可愛らしい。
ほら、アライグマくんだって
男性器に酷似した電化製品を綺麗に洗っているよ。
他にも乳房を這うナメクジや、
乳房を刈り取ろうとするカマキリがいたり。
うーん、愛らしい。
ひるたたかひろ |
説明が遅れてしまったが、
ひるたさんの作品はシルクスクリーンプリントである。
こちらの作品も大変、大変愛らしい。
暇をもてあましたお猿さんは暇を何やら潰している。
ひるたたかひろ |
もうちょっと下に目を向けると、
計三通りのプレイングマニュアルがご覧の通り。
つぶらな瞳でやることやってる。
あぁ、本日も平和である。
鮮やかなインクが夕陽のように眩しい。
絵本「しゃけのにおいがした」 いとうとしや |
これから何か幸せな出来事がやってくる、
という表情では無い。
これは、たくらんでいる表情である。
もうこの表情とタイトルでお察しの通り、
緩急つけて読者をおいてけぼりにしようとする。
会場には他にもいとうさんの絵本が展示されている。
「鳴り止まぬ空耳」
「さよならサンライズ」
「みんな考えてる。」
「ピープーサンダル」
ページを読み進めるごとに、
「もう、どうしよう...」となる。
極めつけはこの一枚。
これが画用紙ではなくキャンバスに直書きされている点からも、
程良い狂気を感じ取れる。
「四人展」というシンプルなタイトルながら、
中身は濃厚である。
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まつもとさち、ひるたたかひろ、いとうとしや、たかのゆりな
『四人展』
会期:2014.12.13 - 2014.12.20
(ぱんだ)