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『ふねのうた』



WEST 1-G
大森 緩子/中村 葵 『ふねのうた』

武蔵野美術大学生の二人による展示会です。
絵画作品と、ロウを使った立体作品、
それと少しの写真作品によって空間が作られています。




絵画作品を描いているのは大森 緩子さん。
チリヂリにも見えてくる色の遊び方が特徴的。

遠くから見るとふわっとボヤけている印象なのに、
近寄って見てみるとエネルギーに満ちあふれている。

垂れた絵具、盛り上げられた絵具、またそれをガリガリと削った跡。

富士山は距離を置いて鑑賞するのが最も美しいという話を聞いたことがないだろうか。
ぼくは彼女の絵からは自然本来の性質に似たものを感じました。

決して、富士山を歩いて美しくないというわけではありません。


彼女の絵からは自然の持つ脅威、畏敬の念にも似た神々しさが感じられます。
それらは長年彼女が継続しているというスノーボードなどの
アウトドア・ホビーを通し、感じてきたものなのかもしれない。


過去の(場所の)記憶と現在の(場所の)記憶を照らし、
自分の中で新たな解釈で場所を彩っていくんだそうです。




続いては中村 葵さんのロウで作られた立体作品。
ご覧の通り、初見で目を奪われない人は居ないのでは。

中村さんも大森さんと同様、「時間」に関係した作品を作られています。
作品タイトルは bathroom、そうお風呂場です。


この、タイル状に並ぶロウの塊は私たち人間そのものを表しています。
何に向かってそんなに並ぶ必要があるのでしょうか。
何を目的として人間はここに並んでいるのでしょうか。


並んだ先にあるのはロウが流れるシャワー。

普通に考えれば、体の汚れや垢などを洗い流す行為であるはずが、
浴びれば浴びるほどに積もっていくロウ。

これらの解釈は見る人に託される部分はあるでしょうが、
例えば、日常的に積み重ねている(大小問わず)嘘なんかに置き換えてみる。

それだけで、ロウを浴びたくなくてもロウが出て来るシャワーの元へ
足を運んでしまうのが理解できてしまいませんか?

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お二人とも、大きな作品というわけではありませんが
どこに展示されていようがパッと目を引く力を持った作品です。

facebookではお二人が芸術談義するところなんかもアップさせて頂きました。
是非ご覧下さい。

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--- chida ---