適度な距離を保って
まとわりつくものがある。
" 井上恵美梨 × 井上智恵 "
心地よくシリアスな場所。
主に、井上恵美梨さんは写真作品
井上智恵さんは映像作品を制作なさっている。
まずご紹介する上記作品は、
恵美梨さんの写真をモチーフに、
智恵さんが制作された作品。
透明なアクリルボックスの中には、
瑞々しい嫌悪感の吹き溜まりであるというのに。
それに反する感想を抱いてしまう。
写真のモデル、口元は水面下に追いやられ、
ぶくぶくと泡を吐き出す。
溺死の過程か、暇潰しの一種であるのか。
どちらにせよ、気だるい一瞬が収まっている。
こちらの作品も智恵さん製作。
長い釘の頭を足にして自立する、球体の頭皮。
実はこの作品のイメージは、
彼女の夢に出て来たものである。
妄想の産物が形を成して、
これまた清潔感のあるアクリルボックスに収まる。
身動きは取れるのか?取れないのだろうか?
続いてご紹介するのは、
恵美梨さんの写真作品。
色味の薄い、そして偏りのある色調。
フラットな写真をフラットな壁に刷り込むよう
恵美梨さんは『死』に触れたモデルに惹かれ
『死』に触れたモデルを撮影している。
モデルの表情を撮ることはせず、
その周囲を捉えようとする。
上記作品は大きく引き延ばされた状態でプリントされ、
展示スペースの床面に敷かれていた。
踏んでも良いのだ。
恵美梨さんの足元。
どこかにある枯れ葉の上に佇む彼女の足に、
自身の足を添えて、
踏みつけて。
墓標の前に横たわる人を眺める。
私たちにできることは、それだけ。
みしっときしむ足元。
5.30 - 6.1 までの期間、WEST : 2-D にて展示
お話を伺ったのは展示最終日。
展示の感想をお聞きしたところ、
「 "言葉にできない感想" が貰えると嬉しい」
と仰っていたのが印象的。
見るからにダウナーな印象を与える作品の数々は、
大変若々しく、ネガティブな情景を
ポピュラーに再変換し得るものでした。
今回が初の展示会ということでしたが、
是非、これからも外部にアウトプットし続けて欲しい。
更に太い芯を、更に激しい乱反射を創造できると思うので。
そして展示最終日は恵美梨さんの誕生日
(20歳だそうです、おめでとうございます)
お二人の記念撮影は、智恵さんの映像作品を浴びて ー
(ぱんだ)