Maggieさんはしばらく日本で働いてきて、三月の終わりからハワイのAIR(アーティスト・イン・レジデンス)で滞在制作をする予定です。まさに人生の転機。「楽しみだけど、予想がつかないからナーバスでもあるわ」と語っていました。旅立つ前に日本で展示を、という訳で今回の展示が決まりました。
独特な色彩で彩られた、大きい作品が何点も飾られていて圧巻。EASTのアートポケットはこんなに飾れるんだなと気付かされました。
"Robots and Marionettes"
鮮やかな夕焼けにロボットとマリオネット。一見面白い、可愛い、あるいはコミカルな印象を受けたのですが、よく見るとなんだか奇妙。
命のないロボットに操られるマリオネット達は不機嫌な顔つきだったり、叫び声を上げたりしています。
全体主義を連想してしまい、思わず「これは皮肉ですか?」とMaggieさんに聞いてしまいました。個人個人では制御できない、わからない、何か大きな力で操られている感覚を絵にしたそうです。科学やテクノロジーが優勢で精神的なものがないがしろにされている現状。
こちらは樹海のドキュメンタリーに触発されて描いた作品。水だけ飲みながら、生きようか死のうか一ヶ月悩み続けた男が描かれています。画面の奥には、微かな希望。
"Human Condition"
太古から続く、宇宙や地球、生命の循環、私たちの欲望、生活の中のあらゆる刺激などが視覚化された作品。インパクトのある色使いが目に留まり、絵の意味がどうの以前にとても惹き付けられます。
こちらの抽象画は夢を元に描かれています。Maggieさんはユングの精神分析にも興味があり、夢日記をつけているそうです。「この絵を描いた時は、(物理学、宇宙などの関連で)時間や空間について何かで見たり、読んだり、考えたりする機会が多く、それを夢に見たのだと思う」と話していました。
例えばブラックホールやパラレルワールド(平行宇宙)は、私たちの世界とは別の時間の概念で成り立っていると言われています。Maggieさんはそういう別の時間の秩序、もしくは時間というものが無効になる時空間の中というものを想像するそうです。それは、想像・創作が自由に開くワンダーランドにもなり得るのです。
笑顔に溢れ、とても気さくに話をしてくれるMaggieさんですが、ハワイでの滞在制作が今後どのように彼女の作品に影響していくのでしょうか。
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DF STAFF KOZUE