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Ophelia SAND ART 『understand』


WEST : 2-A / Ophelia SAND ART 
『understand』

極彩色豊かな像の全ては、
色砂(カラーサンド)のせめぎ合いによって生まれる。

一粒だけを摘み取るならば、塵にも等しいであろう"砂"
そこからOphelia SAND ARTさんの物語は想像を始めます。


今展示タイトル「understand」

「作品内部での現象、光景を理解し、許容すること。」
私が今回行ったことはそれでした。

作品と対面し、しばらく待っていると、
正に星の数程にもなる砂粒が私に幻影を見せるのです。
砂粒だということは理解しているというのに。
物質、人間、動物、光、闇。

そこでまず、許容の準備段階を経たのです。
もう砂であることを忘れてしまった。
あとはただ、景色に没頭するのみ。

[understandⅡ 少女、少年に会う]


[understand Ⅳ moment -イラナイガラクタは捨ててしまいましょう- ]

「ブランコに乗って前後に揺られているとき、
ふと自分の精神が肉体に遅れを取っている感覚に陥る、胸騒ぎがする。
でも、その瞬間こそ、いらない何かを捨てるチャンスなんじゃないか?」

Opheliaさんの言葉を僕が咀嚼した後の言葉です。
これには、あーっ!ってなった。

物なら捨てればいい。
では心的なものを捨て去るにはどうすればいいのか。
その輪郭、感触さえも掴めないそれを捨てさる方法は?

ブランコに乗って、立ってこいで。
勢いがついたときには既に、僕の身から離れているかもしれないのです。
でもね、ブランコが止まったとき、また既に、元の位置に戻っているのです。
つまり、逃れられない。

そう、簡単には捨てられやしないのです。
私は絵の中を一周してしまった。

[さようなら、フランチェスコ]

キャンバスを埋めるのは、ファブリック、カラーサンド、
そしてジグソーパズルにはモナリザの顔の欠損。

Opheliaさんの作品/展示には、ちょっとした遊び心が見え隠れします。
顔の欠損、欠けたピースが実はキャンバス本体からは切り離されて、
スペース内に散らばっているのです。
どこにあるのか?そしてどんな形になっているのか?

これがOpheliaさんの作品の楽しみ方の一つでもあり、
作品と展示とを繋ぐ一要素でもあります。
ニヤリとしてしまう人もいれば、
更に眉をしかめる人も居るでしょう、僕は後者でした。
更なる奥地に入り込む為のピースであります。


さて、一時絵画を離れて、よりコンセプチュアルな作品を。

[傲慢、憤怒、嫉妬、怠惰、強欲、暴食、色欲]
人間の感情、行動を指し示す言葉と共に並べられたのは砂時計。

砂の比率は、意識を占めるパーセンテージの可視化でしょうか。
人間の意識の中には、複数の砂時計(感情)が同時に存在し、変動している。

また、砂時計ということで、その総量が固定されているのも、
面白いなと思いました。
総量が固定されているのならば、変動があっても破損はしないと思うから。
だって、全てはもう内部に収まっている。

そして、多分、僕らは壊れたからじゃなくて、
行き過ぎたから、おかしくなるんだと思う。
その比率が重要なのだと思う。

[21g]

床にまかれたガラスボール。
その中には色とりどりのカラーサンドが詰め込まれています。
重さはガラスとサンドを合わせて21グラム。

映画でもありました。
人が亡くなったとき、その人は21g、軽くなった。
それは魂の重さではないだろうか。

その事実が本当かどうかなんてここでは意味を成しません。

このガラスボール、Opheliaさんがスプーンでサンドをすくい、
1つずつ丁寧に注いで、作りました。
いっきに流し込んではいけない、そう思われたそうです。

手にとってみて気付く、21gの重さ、尊さ。
一つとして同じ色のガラスボールはありません。
それは言わずもがな、私達、貴方達。

この21gに私達がいる。

ガラスボールを手に取り、
自分を、色に、ささくれに例えてみたりして。


[アワとナレ]

最後に紹介したい作品はこちら。
以前、DFG代表の荒木さんの紹介で、僕は銀座のギャラリーに向かい、
Opheliaさんの[アワとナレ]を見ました。
お会いしたのも、この時が初めて。
忘れられない作品です。


ご紹介したサンドアートは光の照射具合、見る角度、距離によって、
その姿を驚く程に変化させます。
物質自体には何の変化もないというのに。

だから、写真撮影しても、その優雅なきらめきは堪能できません。
遠く四国から運ばれてきた、原画を是非この機会にご覧ください。

展示期間は、27日(日)までとなります。
砂粒に押しつぶされる感覚を味わって欲しいです。
ざーざー、埋もれる。


(ぱんだ)