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翠川 縁


翠川 縁
2020.12.24-2020.12.28
[EAST 2F ART CORNER]

歴史的なパンデミックが巻き起こったこの「2020年」という一年。
可視化できない不安や悲しみ、怒りといった感情までも、人々の心に強い影響がありました。
元来より独特の水色で作品を描かれてきた翠川縁さんは、この一年、自らを「水色の画家」と称し、自身を奮い立たせるように、この状況下において日々制作され続けこられたと言います。
壁一面を彩るその水色から、あなたはどんな感情を持ち帰るでしょうか。



これまでも水色を使い、実在しないクリーチャーを描かれてきた翠川さん。
その中でも、2年ほど前から描かれてきた「おさかな」と呼称されている生物の小作品は、壁中に隙間なく設置され、まるで水の中を泳いでいるよう。
同じ形状、同じ構図のように見えますが、描かれたその日、その瞬間の感情が付加され、ひとつとして同じ個体はいません。


涙をこぼしているような子も。
一体一体に魂が込められ、目が合った彼らと対話していると、その一瞬一瞬の感情を訴えかけられているようで、ぎゅっと胸が締め付けられます。


顔がないクリーチャーのシリーズも。
色々なことが重なり、辛かった時期に描かれていたシリーズなのだそう。
その時々の感情によっても、色の乗せ方や使い方が変化されていったといいます。
にょきっと伸びた足だけがそれを生物たらしめ、まるで顔を隠してしまっているような、どこかもどかしい、やるせない気持ちのようなものも感じられます。


翠川さんは陶芸作品も数多く制作されており、壁に沿うようにずらりと並べられています。
中でもこの一輪挿しは、絵画と同様に鮮やかな水色でとても美しく、日常に彩りをもたらしてくれるよう。
全く別ジャンルのようにも見えますが、全体を俯瞰して鑑賞すると絵画世界と絶妙にマッチし、一輪の花に生命力が宿るようにも感じました。


ライブペイントで描かれた大型の作品も複数展示されている本展。
360度、見渡す限り水色の世界は、その空間に佇むとまるで海の中にぽちゃんと飛び込んだよう。
翠川さんのこの一年で起こった様々な感情が綯交ぜになって、圧倒的なそのパワーに、鑑賞し終えた頃には胸がじんわりと温かくなる優しさに包まれた展示空間です。
翠川さんが生み出す、強くてどこか寂しくて、優しい気持ちになれる水色の世界。
2020年の集大成、あなたはどんな感情が生まれましたか?

本展は12/28(月)まで。

instagram:@yori_midorikawa

<スペース詳細はこちら>

[EAST 2F ART CORNER]

staff kome