『企画展 金魚姫』
noramico yamato × サコシエリカ
2019.3.30-2019.4.1
[EAST 102]
美しい金魚姫、今日もみなに夢を見せる。
儚く哀れな金魚姫、今日もみなの為に踊り続ける。
たとえその背びれが千切れようとも。
noramico yamato × サコシエリカさんによる『企画展 金魚姫』が開催中です。
平成を駆け抜けた架空の伝説のアイドルと伝説を追って自身も伝説となったもう一人のアイドル。
煌びやかな世界を生きた彼女たちの栄枯盛衰をどうぞご覧ください。
今回の展示では伝説のアイドルのモデルをnoramico yamatoさんが、もう一人のアイドル
ななしちゃんを一般女性の方が、そして彼女たちの衣装、演出をサコシエリカさん担当しています。
ストーリーは無個性のななしちゃんがカリスマアイドル鮒龍子に憧れ、アイドルを目指す
ところからスタートします。
最初は衣装もちょっとダサめなパッとしない感じ。
けれどこのサングラスから覗く瞳に宿る熱さに、視線の鋭さに伝説となる原石であること
を感じさせます。
ななしちゃんの2枚目のシングルは繁華街での撮影。
タイトルとジャケットのななしちゃんの顔が見えないところがとても意味深。
アイドルも軌道にのり絶好調なななしちゃん。しかしファンがつくほど周囲から押し付けられる理想や期待は膨れ上がり、気づいた時には周囲が作り上げた偶像に、元来の自身が
押し潰されていく。
カリスマアイドルの道を進むななしちゃん。誰しもに愛され、尊敬される彼女。
しかしそこには当初の無個性という個性を大事にしながらも自身を表現していた彼女はいません。
カリスマアイドルとなったななしちゃんのその果ては....?ぜひ会場でご覧ください。
架空とは思えないストーリー設定、衣装、CDジャケットに始まるアイテムと、その綿密に作り上げられた作品の完成度の高さにただただ驚きと感嘆の声が漏れるばかりでした。
今回、”金魚と””アイドル”というテーマにした理由をサコシさんはこう語ります。
金魚の歴史はもともと鮒の突然変異。中国で光る金魚が発見されたことが始まりです。
そこから人間の手により鑑賞用へとより美しい金魚になるよう人工的に作り出されたもの。
しかし、川に離し三世代経ると元の茶色の無個性の鮒に戻ってしまう。
その人工的に美しく作られ、最後は元に戻る様が現代のアイドルと通じることを感じたとのこと。
そのアイドル=偶像の押し付けは決して芸能界だけの話というわけではなく、実は身近に存在するもの。
それは私たちが生活する中で、あなたってこういう人だよね、あなたにはこうであってほ
しい、といった誰もが誰かに自身の理想や希望を押し付けています。
人気者になりたい、特別になりたい、唯一になりたいという思いが強い現代の子たち。
だからこそ誰かが囁く理想を受け入れやすい。
その理想になった先に待つのは幸せか否か、サコシさんはそういった現代の子たちへの警
告も込めているそうです。
金魚という美しい偶像に隠された寓意に、現代の”繋がり”や”温もり”をより求める人間関係への皮肉に、突きつけられたわたしたちは何を思うべきか、どうすべきか、考えさせられます。
作家紹介
COUTURELIST noramico yamato
衣装作家 サコシエリカ
HP:http://lostchilds.wixsite.com/lostchilds/blog/企画展-金魚姫
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staff minako