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紺野紗希 鈴木晴絵 永田琴巳 小谷香央里 『やっと、』


紺野紗希 鈴木晴絵 永田琴巳 小谷香央里
『やっと、』
2020.1.27  -  2020.2.2
[ WEST 1-D ]

バラエティに富んだ4人の作家グループ展が開催。作品モチーフが興味をそそられるものばかりの展示となっています。枠に囚われない表現で制作をされた作品を各作家さん毎にご紹介いたします。

鈴木晴絵


工事現場の風景を作品にしている鈴木さん。銅版画とシルクスクリーンを合わせた表現によって、より現実的に感じる風景画を生み出しています。工事現場では日々変わり続ける風景があり、時間の流れを強く感じる場所でもあるということから、時間が重要な要素となる銅版画で表現されたそうです。




対となっているこちらの作品は、筆跡をもとに派生していく描き方をされています。ダーマトグラフやスプレー、銅版画など複数の画材や手法によって表現されており、複雑な絡みを持つダイナミック形態です。その様々な表情を持つ黒い形態は迫力があり、加えて対となっていることで儀式などの神聖な気をも感じられます。


紺野紗希


鑑賞者に衝撃を与えるこの大きな玉葱。お供えものなのか、玉葱を信仰しているのか。作者の紺野さんは、幼い頃から野菜全般好きではなかったようですが、唯一玉葱だけは好んで食べられていたそうです。そのため、自分にとって玉葱は特別な存在なのではないかということから玉葱への信仰心として「玉葱教」という作品が誕生しました。
普段はこれ程大きなサイズで見ることのない玉葱ですが、紺野さんが細部のシワ模様や色味を描くことで、玉葱が別物に見え、違った魅力を伝えてくれます。


こちらの猿の絵画はとても可愛らしい姿が描かれています。何かに興味を持っている小猿の姿や寄り添う姿に心温まります。
また紺野さんの作品は、キャンバスの側面に装飾がされており、表面だけではなく作品全体を意識した制作をされています。


永田琴巳


稲への愛を感じる永田さんの作品。新聞紙で作られた稲はとてもリアルで美味しそうに実っており、この稲を使ったインスタレーションをされています。実際に、田んぼに1束の新聞紙稲を植えている写真を見ると、一際目立つ新聞紙稲ですが、対比してその他の稲へも注目してしまいます。すると、丹精込めて育てられた稲の姿が心に響き、大切に食べなければと思うのです。


ものから 記憶が離れていく
ものの 記憶が失われていく
ものと 記憶が失われていく

新聞を 読まなくなる
米を 選ばなくなる

ものも 記憶も 生きている
更新された新しい形を見て欲しい

雨が降ったり人が通ると弱い稲穂の新聞は倒れてしまう
だから 稲穂も新聞も大切に毎日面倒見ていく


永田さんの言葉は、忘れていた何かを思い出させてくれるよう。形として見えている稲穂や新聞だけではなく、それらを思いやる気持ちや意識の大切さ。そして、その気持ちがその他の行動にも影響する大切なことなのだと、優しく気付かせてくれます。


小谷香央里


小谷さんが制作された版画作品は、繊細な線や色彩が魅力的で、額装された左下の大きな作品も淡い色味がとても綺麗です。あるミュージカルの一場面を表現されており、虹色で半透明な色彩は光を表しています。


こちらの銅版画作品には物語があるようです。今回展示されている部分は序章の部分。窓や空から降り注ぐ光が印象的な風景です。これからどんなことが起きるのでしょう。この先の物語は少しずつ増えていくそうなので、早く完成した物語を見てみたいという気持ちはありますが、楽しみに待ちましょう。


こちらは布地の作品で、一見大きな花に見えますが、細かく花びらや葉が描かれています。物語が完成した際には、表紙にこちらの作品が使用されるそうですよ。


今回ご紹介した作品群は、間近で鑑賞するとより迫力や繊細さを感じることができるので、ぜひ展示会にお越しいただきご鑑賞ください。



作家紹介

 小谷香央里 

スペース詳細▽
[ WEST 1-D]

Staff Chi