立教大学 写真部 2019年卒生
『立教大学 写真部 卒展「次回予告」』
2019.3.14-2019.3.17
at EAST 303
卒業生による展示のタイトルが「次回予告」って、なんかいい。
次なる一歩を踏み出す、立教大学写真部の卒業生有志の写真展が開催中です。
卒業生有志10数名が集まり行われている本展示。
さすが卒業生とだけあって、どの作品も非常に見応えのあるものが並んでいます。
さまざまな日常の断片をランダムにレイアウトした片桐 真智子さんによる作品。
タイトルは『肖像』となっていますが、作品には複数の人物がところどころ点在しています。
「肖像」という言葉には「特定の人間の外観を表現した絵画や写真、彫刻」という意味がありますが、その英語に当たる『ポートレイト』には、「特定の人物を言葉、あるいは映像で表現したもの」といった定義<出典:Oxford Dictionary>もあります。
その前提で作品を見てみると、とても映画的、詩的な作品のように見えます。
作品が描いている肖像とは、日々を記録した写真から浮き彫りになる、自身の姿なのかもしれません。
映像的といえば、こちらの脇屋 葵さんの作品も映像的です。
といっても前述の片桐さんの作品とは違い、絵作りという点で。
横長のフォーマットは映画で見られるようなシネスコープサイズを想起させます。
それに加えて3点の作品が同アングルであること、これによりなだらかな連続性を生んでいます。
3点のみのカットにもかかわらずまるで映画でも見ているかのように、波の音や風の音、会話まで聞こえてきそうなほどのリアリティーが感じられます。
先月、EAST 102にて行われていた3人展『いくつかの光路』に参加していた三原 慎平さんの作品。当時とはまた違った作品を展示されています。
なんといっても写真でわかる通り、大胆な展示方法で作品を見せています。
ベランダ付きというこのスペースの特徴を生かしたディスプレイで、ほぼ100%自然光に照らされるため、作品との相性も良いです。
花の赤と空の色のコントラストが美しい作品ですが、時間帯によって表情を変える空が背景にあり、モチーフである花にもそれぞれの写真にまったく違った表情が垣間見えます。
この記事のために写真を撮ったのは夕方前でしたが、窓に一枚だけ貼られた作品と外の風景がリンクしたらどう見えてくるのか。見る時間帯によって鑑賞者の思いも変わってくる、表情の豊かな作品です。
こちらで紹介できるのはごく一部となりますが、全ての作品に見どころがある密度の高い展示です。ぜひご覧ください。
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立教大学写真部
週1回の部会と、年に複数回ある写真展を基軸として活動しています。
部会では各自の作品を持ち合い評論し合う「セレクト」を行っております。
また、暗室が現在でも使用可能であり、様々な写真表現に取り組む部員たちがおります。
今回は、卒業展示に向けて3回の打ち合わせと2回のDM撮影を行いました。
【使用スペース:EAST303】
by isaka