川上湖瑚蕗・市来陽 『上京展』
2019.3.14-2019.3.16
[EAST 203]
「上京する」。
それは良くも悪くも、人生にとって重要なターニングポイントとなる出来事。
同郷から上京して1年が経った二人が過ごした「東京」の世界とは。
同じ中学、同じ高校、地元奈良で共に青春時代を過ごした川上さんと市来さん。
お互い高校は普通科で、美術部だったわけでもない。
そんな二人は偶然にもお互い芸術に興味を持ち、偶然にもお互い東京で芸術を学ぶことになったという。
空間中に張り巡らされた文章。こちらは市来さんによるエッセイです。
「東京ってイオンモール少ないよね」
「赤いきつねは関西限定味こそが至高です。」
そう。奈良県民、いや全国の郊外の地方出身者の生活の要といってもいい「イオンモール」を都心で見かけることはほぼないし、東京で手に入る赤いきつねの味もしょうゆが濃いのです。
自分が今まで気にも留めなかった小さな小さな出来事が全て新鮮に感じる。
これは「東京」がそうさせているのか「環境の変化」がそうさせているのか、皆さんはどう感じるでしょうか。
こちらは市来さんが選曲したという「東京プレイリスト」に、川上さんがパッケージをデザインした作品。
パッケージを開けると、短いエッセイが。こちらは市来さんが楽曲を再解釈し、したためた文章となっています。
その文章を受け、川上さんがデザインを担当。
サイケデリックな印象に落とし込んだり、関西でいうところの「シュッとした」デザインに落とし込んだり。
混沌と美と望郷と、様々な顔を持つ「東京」をうかがうことができます。
川上さんがロゴデザインをした「東京を表す一言」を選んで、ぺたぺたと貼ることもできます。
自分が思う「東京」の印象。もちろん、東京出身の方も是非参加してみてくださいね。
「上京」という単語は「東京」にしか適応されない特別なものであり、上京した者は誰もが一度はその「東京」という不思議な街に絶大な魅力と虚しさに苛まれたのではないでしょうか。
実はお二人と故郷が同じスタッフ。
車の運転が交通手段だったのが、ぎゅうぎゅうの満員電車での通勤になったり、
野菜は家の畑から収穫してきたものを食べていたのが、高い野菜をスーパーで買わなければならなくなりました。
そんな個人的な想いも溢れてきてしまうほど、ノスタルジックを感じるずにはいられない空間でした。
日本大学芸術学部文芸学科で言葉による表現を探求する市来さんと、
東京藝術大学デザイン科で幅広くデザインを学んでいる川上さんにだからこそできる表現のマリアージュがここにあります。
本展は3/16(土)まで。
私たちが生きる「東京」は今、皆さんの目にどのように写っているでしょうか。
Twitter:@jokyoten201903
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[EAST 203]
staff kome