nwa
『JPN+nwa』
2018.12.22-2018.12.27
at WEST 1-F
透明なフィルムの上に焼き付けられた美しい風景。
そこにあるのが当然かのように目の前に現れたその写真は、決して当たり前ではない、いくつもの偶然が重なり合って生まれた奇跡でできています。
そんな奇跡的な一瞬一瞬を旅路の過程で写真に収めてきたnwaさんの3年ぶりの個展が開催中です。
今回の展示作品は全て、nwaさんが3ヶ月もの期間で渡り歩いた日本一周の旅の中で収められた写真。スペースでは東西南北と壁面を使い分け、その土地土地の写真が並んでいます。
透明なフィルムに写真がプリントされていることで、写真に奥行きと立体感が生まれています。なので鑑賞者はまるで自分がそこにいたかのように、目の前の風景に没入していきます。
また展示作品とともに付された文章は、nwaさんが旅の間に認めた旅日記からの抜粋。その総字数は20万字にものぼります。当事者的に鑑賞することのできる写真と、撮影者が実際に感じたことを記録した文章。まるで自分が旅をしているかのような錯覚を覚え、静かな風景の写真からは想像もできない、途方もなさに圧倒されます。
旅を続けていると、自分が想像だにしなかった風景に出会うことがあるとnwaさんは言います。そしてそれが自身を旅へ駆り立てる理由であるのかもしれません。
こちらの作品、海辺に佇む鳥居とその背後の霞から、まるで現実感のない荘厳な風景に見えます。
普段であれば対岸に浮かぶ島々が鳥居の向こうに見えるそうなのですが、このときはたまたま台風の前後だったため、写真のような幻想的な霧が海上に漂っていたのだそう。
目の前にある風景は刻一刻と変化し、自分が見ていた景色が本当に現実だったのかと疑うくらい、あっという間に消えていく。その一瞬を捉えることのできる術を持ち、自らの足でその風景と出会いに行ったnwaさんにしか表現することのできない世界が広がっています。
旅の間に毎日書いていたという日記は、短く終わる日もあれば、この写真のページのように長文になることも。なんども挫折しかけたという旅路でも、この日記を読んでみるとクスッと笑えてくる瞬間もあれば、心が温まる瞬間もあります。それも含めて旅、だからこそ人は旅に出るのかもしれません。
会場には台湾に滞在されていた互いの言語を教えあったという台湾の方たちが書いたエッセイが置いてあります。これもまた旅をしたからこそできた繋がり。こちらもぜひ読んで見てください。
展示は12/27(木)まで開催中です。
見に来ればきっと旅に出かけたくなります。
ぜひお立ち寄りください。
nwa