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早稲田大学写真部/慶應義塾大学カメラクラブ『早慶展』



早稲田大学写真部/慶應義塾大学カメラクラブ
『早慶展』
2017.12.8-2017.12.11
EAST 101

伝統ある二校の写真団体による年に一度の伝統行事『早慶展』が今年も行われています。
早稲田大学は「写真部」、慶應義塾大学は「カメラクラブ」の有志が作品を展示。多くの写真作品が並んでいます。




橋浦 渚『あじきなきかな』

団体名をカッコ付きで紹介しましたが、じつは団体名一つとってもこの両校の特徴というか、カラーが出ているんです。いきなりの余談になってしまいますが。
たとえば同じサッカー部でも早稲田大学は「ア式蹴球部」で、慶應義塾大学の場合は「ソッカー部」。といった具合に。早稲田は漢字表記でも慶應は横文字なんですね。

この二校の写真部は双方とも大変歴史のある写真団体で、早稲田大学写真部は創立115年、慶應義塾大学カメラクラブは91年とほぼ100年の伝統があります。故にこの『早慶展』も、六大学野球における早慶戦のように伝統のある展示会なのです。(ちなみにこのブログを書いている筆者は早稲田大学写真部第103期OBです)


高橋 正虎『Liberation de l'opression -抑圧からの解放-』

筆者の頃から早稲田の写真部はドキュメンタリーやフォトルポルタージュ的な作品が多いのが伝統だったのですが、どうやらその伝統はいまも少なからず残っているようです。

ハロウィンに沸く渋谷の街をモノクロームで収めた作品。『抑圧からの解放』という言葉は、華美な衣装を身にまとい忙しく過ぎる日常をから解き放たれた人々の様子を端的に表しています。

ここにいるのは漫画や映画のキャラクターや有名人、はたまたゾンビなど、自分ではない誰かの姿を借りることで自己をアピールしている人たちばかりなのに、この写真に主役は不在で、皮肉にも誰もがアノニマスな存在のように写されています。


永瀬 巨海『Sold Forever Love for Someone who be Loved by Nobody Now』

こちらの作品はタイトルと写真の美しさに惹かれました。

花屋というのはどの街にもたいてい一つはあるもの。
ではなぜそうなのかというと、どこの街にもそれを求めている人がいるからですね。
大切な誰かにプレゼントするのももちろん、殺風景な部屋に彩りを添えたり、花にはいろいろな役割があります。

目的は人それぞれにしろ、店に並んでいる花にはその後のストーリーがある。そんなことをこの作品から感じました。




壁作品では収まりきらなかった写真、数で何かを伝えたい写真が凝縮されているブック作品のコーナー。こちらも大変見応えがあります。写真というメディアはページをめくることでいろいろなものが見えてくるメディアだと思うので、写真をやっている人にはブック作品の制作もおススメしたいです。自分の撮った写真と対話するキッカケにもなります。


DFGのスタッフとしてというよりもちょっとメンドクサイOB目線で展示を見てしまいましたが、写真に向き合う姿勢は変わっていないと先輩は安心しました。

展示は本日が最終日ですが、もしお時間がありましたらぜひ足をお運びください。

【出展スペース:EAST 101】
author : isaka