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高松彩華/増渕南美/松本青依 『まるさんかくまる』


高松彩華/増渕南美/松本青依

まるさんかくまる 

2022/08/23 - 08/25

[ EAST 304  ]

まだ見ぬ彫刻ワールド。

彫刻科専攻の学生3人による、作品展示会です。

彫刻というと、みなさんは何を思い浮かべますか?
私の中で彫刻と言われて思い浮かべるイメージは、人体をモチーフにした、白くツヤツヤした作品。しかし彼女たちの作る作品は、私の持つ彫刻へのイメージとはまた異なる、想像力を掻き立てるような、そんな作品でした。

3人は同じ大学に通う3年生。和気藹々とお話ししてる姿は、作品からは想像できないくらい無邪気な少女たちで、作品や彫刻それぞれに対する思いをたくさんお話ししてくれました。


彼女たちの作品は三者三様で、表現する形やテーマすべてが違います。
3人の描く彫刻の世界のぞいてみましょう。




明確なモチーフを彫刻で表現しているこちらの作品。
彫刻の面白いところは360度から作品を楽しめるところです。
と教えてくれた作家の増渕さん。
本当に彼女のいう通りで、作品がそこに存在するという感覚になります。


優しい表情のパンダが、とても愛らしいですね。
石膏で作られているこちらのパンダ。
調べたところによると、私が最初にイメージを持った、白くてツヤツヤした彫刻は、石膏から作られていることが多いよう。

繊細な色使いによって、パンダに命が吹き込まれたような、とても温かく体温や毛並みを感じられそうなくらいリアルで優しい色合いです。

元々動物の彫刻を制作されていたそうで、家にあるぬいぐるみをモデルにされることが多く、こちらのパンダも仲間の一人のようです。
DFGでは、動物をモチーフにした作品を制作されている作家さんが多くいらっしゃいますが、みんな動物への愛が深く、優しい印象の作品が多く見られ、動物に対するまっすぐな気持ちを感じられます。



こちらは打って変わって抽象的な表現が特徴的な作品。
こちらは作家の松本青依さんの作品です。
右の白い作品は「柔踊」と題された作品で、大理石という硬い物質から作られたとは思えないほど柔らかい印象。
タイトル通り、今にもぐにゃぐにゃと動き出しそうな、動きのある作品で、その物質が本来持つ性質とは全く反対の表現をしているのが、とても興味深かかったです。
明確なテーマを持たない作品は、見る人それぞれが全く異なるものにみえる、そこもまたいい面ですよね。

左の作品も石から作られたもので、制作するのにかなり体力を消耗するようです。
石を削って削って、こんなにも滑らかな作品を作るなんて、、、職人技ですね。

彫刻を制作する際、初めにヴィジョンを考えてそこに合わせて制作していくパターンと、作っていく過程で見えてきたものを形にしていくパターンと、作家さんによって制作過程も全く異なるよう。


こちらもなかなか興味深い面白い作品。高松彩華さんの作品です。
こちらの作品、青い丸は地球を表していて、なんとこの紐にゼンマイが仕掛けられており、自動で伸びたり縮んだりするのです。
みなさんにはこれが何に見えますか?

彼女が描くこの紐や台は、処刑台を表現しているのだそう。

よく見ると小さな人の形をしたオブジェがいます。
人々の中には、吊るされそうになる地球を下から支えようとする人、一方では紐を握り運命を左右する人。
どちらにも属しない人は、もはや地球の運命など眼中にない人なのかもしれませんね。

この説明をされた時、ふと自分はどちらに属する人間なのか、地球を支えるほどの行動ができているのか、なんだか自分の行動を改めて考えさせられました。
彼女の作品には壮大なテーマがあり、強いメッセージを人々に伝えるのは、勇気と行動力が必要だと私は考えます。
まだ若き作家さんからのこのメッセージ、私は感動しました。



個性的な3人の作家さん、まだ学生さんということで、これからの活動が楽しみです!



高松彩華


増渕南美


松本青依


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[ EAST 304 ]


STAFF:ALISA