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東京藝術大学デザイン科 Design Civics 研究室 『藝大展』

東京藝術大学デザイン科 Design Civics 研究室 『藝大展』

2021.1.30  -  2021.1.31

[ WEST 2-A ]

インスタレーション作品を作られた同校のお二人による展示会が開催されました。世界の様々な問題をお二人の視点と表現によって、考えるきっかけを与えてくれる展示となっております。

作者は、東京藝術大学大学院 美術研究科 デザイン専攻 Design Civics研究室 修士一年の岩藤愛実さんと潘杜若蘅さんのお二人。展示スペースの入り口に到着すると、インパクトのある作品が目に飛び込んできます。お二人は映像やテクノロジーを使ったインスタレーション作品を手がけており、視覚的な要素が多い体験型の作品となっています。

今世界で起きているいくつもの差別や宗教対立、陰謀論による社会の分断などの問題を取り上げ、「より良い社会とは何か」をテーマに表現されています。

それではお二人の作品をご紹介いたします。


岩藤愛実

スペースを覆うように無数の白い風船がゆらゆらと動いているこちらの作品。この異空間は見ているだけで不思議な感覚にさせられます。今回、岩藤さんはインターネット上の誹謗中傷問題を取り上げました。

人種差別による誹謗中傷がリアルタイムに反映され、姿を変える作品です。

インターネット上の差別的なツイートに反応して、全体が赤色に染まり、風船が空間の中心に向かって迫ってくるような早い収縮を起こします。これを中心に設置された椅子に座って鑑賞することで、誹謗中傷で傷付けられた側の立場を体験することができます。

風船が迫ってくることの圧迫感と赤色の色彩による不安や恐怖感によって追い詰められていく心理状態を体験できます。悲しいことに1分間の短時間でも何度も赤く変化しており、実際に世界のどこかで多くの人が苦しんでいることに気付くことができます。


潘杜若蘅

潘杜若蘅さんは、コロナウイルスによって苦しめられている現代、ワクチンという「科学的な力」によって起きた問題に着目しました。それは、ワクチンの賛成派と反対派がいること。これを起点に、反対派の人たちにワクチンをオススメする良い方法はないかと考え、今回は「宗教の力」を使った方法を試みた場合を想定して作品を作られています。

今回誕生した宗教の名は「KORONASHI」。初代神様『濃之儺使(KORONASHI)』が信者をコロナウイルスから守ってくれるという。宗教の道具が卓上に並んでおり、少し怪しげな雰囲気です。

青いカーテンの中に入ると、そこには光り輝く『濃之儺使(KORONASHI)』が。まさに神といった眩い光を放っています。KORONASHI信者は宗教というメディアを通して良質なコミュニケーション環境を得られ、自ずとワクチンを受け入れる賛成派になる仕組みとなっています。

何を信じるかによって行動は変わります。この「KORONASHI」もまた行動を変える一つであり、ユーモアと皮肉が混ざった作品です。


お二人の作品は自然と社会について考えることができる、きっかけ作りのような働きがあります。展示公開は二日間のみですので、是非来館可能な方には体験していただきたい作品です。

会期は1/30(土)・1/31(日)の二日間です。


<スペース詳細はこちら>

[ WEST 2-A ]


staff:Chi