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キクチアヤコ 『キクチアヤコ短歌展「diary」』


キクチアヤコ
『キクチアヤコ短歌展「diary」』
2020.12.4-2020.12.6
[WEST 2-C]

五七五七七という31文字の言葉の中に詰め込まれた小さな世界。
現代では短歌に馴染みがある、という方も少なくなってきているのではないでしょうか。
キクチアヤコさんは、少し堅苦しいイメージのある短歌をカジュアルに、親しみやすい言葉で叙情的に表現されています。
日常的な風景の中に、チクっと心が動かされる言葉の数々が心をじんわりと柔らかくしてくれます。


スペースの中には、白い紙にシンプルに並べられた短歌の数々がずらりと並びます。


本展では2019年の11月から2020年の11月までの約1年間の間に認められた短歌が、日付とともに展示されています。
キクチさんの言葉は、一度読むとパッと情景が思い浮かぶ親しみやすさの中に柔らかく感情が乗せられています。
何気ない日常の一コマがドラマティックに感じられたり、日々の生活の中でも心が動いた瞬間の状況が短い言葉で綴られています。


そして、目に見えぬ脅威から身を守らねばならなくなった2020年。日常が日常でなくなった空白の数ヶ月間。
コロナ禍は私たちの心が最も激しく、または最も静かになった期間。
やるせなさと、それでも進んでいく日常の無常感が切なく、祈りにも似た気持ちが感じられる歌です。


こちらは自粛期間で家で過ごす時間が長くなったことから、5つの短歌にストーリー性を持たせたという作品。
小さな家の中でみつける小さな幸せと、コロナに対する宣戦布告のような力強さが感じられます。
こんな毎日は楽しんだもん勝ち!とりあえず生きていればなんとかなる、そんなポジティブなメッセージが込められています。


スナップ写真を撮るように、日常の中で起こるささやかな一コマを短歌(diary)として記録されているキクチさん。
考えすぎずに制作することを心がけていらっしゃるそうで、制作自体もカジュアルに行われています。
制作に対するキクチさんの自由で気軽な姿勢が、親しみと感情に訴えかける優しい世界を生み出しているように感じました。
スペース外の共有スペースにはポートフォリオも設置されております。
キクチさんも在廊されていらっしゃいますので、是非お気軽にお話されてみてくださいね。

本展は12/6(日)まで。

キクチさんのdiaryはこちらのインスタグラムアカウントからも拝見できますよ!
instagram:@tanka.ak

<スペース詳細はこちら>

[WEST 2-C]

staff kome