98.7Hz 『出会 : 私たちの生活の出会いの連続である。』
98.7Hz
『出会 : 私たちの生活の出会いの連続である。』
2020.2.18-2020.2.20
[WEST 1-D]
韓国出身のアーティスト5名による、繊維をベースにしたという作品展示会が開催中です。
繊維を織る、または布を織る、ということ。
言葉と言葉、人と人、あらゆる物事や感情を彼女たちは「繊維」を通して表現されたそう。
美しく紡がれるその糸の表情とそこに秘められた心の動きとは。
こちらはMun yebinさんによる作品。
《INFLUENCE AND CHANGE》と題された本作は、グラデーションのように黒から白(または白から黒)に色を変え、そこに丸や四角などのテクスチャーが浮かんでいます。
それは徐々に形状を変えているようにも見え、移ろいゆく物事や心の動きを表現しているようにも感じられます。
こちらはYang Yunaさんの《THE FRAME》。
フレーム(枠)には、物体だけではなく、概念的な意味も含まれていますよね。
「枠」に囚われない、はみ出す、はみ出さない、作品をよく鑑賞すると歪んでいたり縮んでいたり。
繊維で編み込まれているからこそ少しの歪さが顕著に表れ、抽象的に描かれた画面からあなたは何を感じ取るでしょうか。
そしてスペース奥で存在感を放つこちらの大型の作品は、Lee Chaeeunさんの《WEAVE》。
その名の通り、波を表現されているようにも感じられますが、カラフルなフェルトや布を折り重ねて表現されている様子は様々な感情や状況に置き換えられると感じます。
それは社会情勢であったり、人と人の繋がりであったり、はたまた感情であったり。
作品を目の前にしたその時々によって、浮かび上がる感情を人それぞれなのではないでしょうか。
こちらはLee Chaerinさんの《A PERSON'S GAZE》と題された作品。
家の窓と思われる枠の中に映るのは、人々が生活を営んでいる様子。
恋人同士、家族、子供との戯れ、空き家…カラフルな布は全て丁寧に織り込まれた作品です。
色とそのシルエットの情景は様々な感情を想起させ、優しさやあ様々な感情を想起させます。
家庭を覗き見する様子は少しのスリルと背徳感も感じられますが、きっと心の奥底では皆
他者の感情を気にして生きている人も多いのではないでしょうか。
天井から床まで、だらりと流れるように設置されたこちらの作品は、Shim Hayoungさんの《SEA JOURNEY》。
滝のようにスッと流れる3本のラインには、様々な国の写真をプリンティングした布を裁断し、編み込み直すことで再構成した情景が。
さらにラインを横断するようにうねる黒の線が、その旅のうららかさを表しているようです。
情熱的に、美しく、華やかに、旅先での美しい景色に圧倒させられた様子がとてもよく伝わります。
「出会」私たちの生活の出会いの連続である。
この言葉からはありとあらゆる事象との「出会」が人生であるとメッセージされているようにも受け取れます。
その出会いを繊維という糸によって表現されることは、その見えない糸によって物事が「織り成されている」ということでしょうか。
国境を越えて、繋ぐこと、紡ぐこと、その尊さ、愛おしさを感じることのできる空間となっておりました。
本展は2/20(木)まで。
あなたの糸も今ここで紡がれている、かもしれません。
<スペース詳細はこちら>
[WEST 1-D]
staff kome