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TAKUYA TAKEUCHI 『万物の理論』



TAKUYA TAKEUCHI 『万物の理論』
2019.8.30-2019.9.3
[WEST 1-A]

“万物の理論とは素粒子のあらゆる性質や宇宙が誕生し消滅する様子さえも理解できると期待されている究極の物理理論である”  -  キャプションより引用

この超越した理論は、個人レベルのものから宇宙レベルに起こり得る事象まで全てに当てはめることができると考えられています。
全知全能の「世界」とも捉えられるこの概念に「表現」で挑むTAKUYA TAKEUCHIさん。
その飽く無き探究心と圧倒的エネルギーが展示空間を支配します。



壁一面に貼り巡らされた無数の版画作品の数々。
こちらはリトグラフの技術を用いて、一発刷りで仕上げているそう。
インクの落とし方や乾き方、画材の特性を活かし応用させ、紙一枚に様々な表情をもたらします。
力強い直線や、無造作にうねりをあげる曲線。
単体でも十分強いエネルギーを感じますが、集積された図版はまさに圧巻の一言。
その場でじっと見つめていると、画面全体が蠢いているように感じられ、今にも引き込まれてしまいそう。



美の概念を追求し続けるものが芸術であるならば、自然界の中で発見された美を追求するものは数学や物理学なのではないか。
世の中には、男女、陰陽、生死といったように様々な二元性が存在しますが、芸術をあえて二元論に当てはめた場合、対となるものは数学や物理学なのではないかとTAKEUCHIさんは考えました。
そして制作された大作は、高さ約2mに及ぶ布に描かれた黒と金。
荒々しく、そしてどことなく静寂さも感じられる本作は、世界の体現、もしくは真理のよう。



同じモチーフとなるこちらの作品群は、金箔と黒が特に印象的。
一点一点全て箔の配置や黒の乗せ方が異なり、それぞれに個性が見受けられます。
ひとつとして同じものはないという、人間、引いては「世界」を構成する生命体の「個」を表現しているようにも感じられます。



こちらは《protoplanet》というシリーズ。
偶然性によって生み出される模様は、スペーシーなイメージもありつつ、内側からぶくぶくと溢れ出す爆発力を秘めているよう。
完成形が想像できない作品だからこそ、その世界観の広がりに圧倒されます。



入り口に配置された一際目を引くこちらの作品は、TAKEUCHIさんがライブペイントイベントで描かれたもの。
およそ一時間で、その場の空気感や音楽に乗せてイメージを膨らませ、そのグルーヴ感に合わせて作品を制作されました。
短時間で制作されたとは思えない手数とエネルギーに圧倒された作品は「その(イベントの)場でないと描けない」と仰るほど。
ライブペイントの空気感がどれほど熱いものだったか、ありありと伝わってきます。



非常に抽象的でコンセプチュアルなテーマを果敢に表現されているTAKEUCHIさん。
表現そのものが「概念」として立ち現れている様は、観る者の思考に問いかけを投げかけます。
それは彼が世界をメタ的に捉えているからこそ、圧倒的なエネルギーの中にきちんと理論が秘められているということがよくわかります。
非常に難解ではありますが、是非空間の真ん中に立ち、感覚的に論理的に、この概念と向き合ってみてください。

本展は9/3(火)まで。

URL:https://takuyatakeuchi.wordpress.com

 

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[WEST 1-A]

staff kome