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秋山アイレ 安倍悠希 小林文阿 『桃園』


『桃園』
秋山アイレ 安倍悠希 小林文阿 
2019.7.9-2019.7.15
[WEST2-B]

予備校時代から付き合いのある3人による初展示『桃園』が開催中です。
油絵専攻という3人。専攻した理由は自由なことができるからなんだそう。
一つの技術に囚われず、表現という部分にフォーカスし、作品のあり方を探っている彼ら。
作家としての将来を真剣に見据える真っ直ぐな眼差しから見える熱量が会場内の中で静かにじっとりと、しかし激しく渦巻いていました。
そんな光る原石である彼らの作品と会場内の様子をご紹介致します。









今回3人が描くテーマは”それぞれが好きなもの”。あえて統一性を持たせず、各々がいいと
思うものを画面にぶつけ、表現された作品が並びます。

秋山アイレさんのモノトーンで構成された建物や人物の作品は、まるで死の世界のような無機質な印象を与えます。しかし画面の中にふと見える非常灯だったり、ぼんやりとした表情の中、妙に印象的な口元だったりと、一点だけ鮮明な部分があることで、無機質な世界に現実の生臭い空気が急に差し込まれ、その妙な違和感に鑑賞者の心はざわつき、不安を覚えます。しかし不安を覚えながらも見たい、そんな中毒性をもっています。





小林文阿さんは自身が生活する身の回りの風景を今回表現しています。
具体的ではなく、限りなく簡略的に面で構成された風景は、まるでおぼろげな記憶の映像
のよう。その作品を前にした鑑賞者は自身の記憶と重ね、まるでそこに訪れたことがある
ような錯覚を覚えます。






こちらのペン画は安倍悠希さんの作品。一見一枚の絵かと思いきや、実は別々の絵が繋ぎ
合わされています。線はあくまで具象物を表現するツールという印象のペン画の作品が世に多いなか、安倍さんの作品は線自体がモチーフであるように感じられました。縦横無尽に描かれた線によって予期しない空間が生み出された世界は、鑑賞者をぐっと引きずりこむような魅力があります。

予備校や大学という狭いコミュニティでは得られない意見、自分たちの作品がどのように見られるのかという疑問がきっかけで今回この展示を実施したという3人。
展示をしてみて、思いもがけない反応をもらったり、いい刺激になったと語る3人は、この展示をスタートに今後の自身の表現の在り方を探っていこうという熱意に溢れていました。
展示をしたことがゴールではない、まだまだこれからなんだという3人の気概にスタッフも
心が奮い立たされた気持ちになりました。
今後も展示をコンスタントに行っていきたいと語る3人。平面という枠に囚われずに様々な表現に挑戦していきたいのだそう。
今後の動向や活躍が非常に楽しみです。

作家紹介


秋山アイレ
・1999年生まれ
・2019年多摩美術大学入学在籍

安倍悠希
・1999年生まれ

小林文阿
・2000年生まれ
・2019年多摩美術大学在籍

新宿美術学院の同期です。



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staff minako