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まるとメリー 『まるとメリーの二人展~再生-RE;start-~』



まるとメリー
『まるとメリーの二人展~再生-RE;start-~』
2017.12.23-2017.12.25
at WEST 2-E

異なる表情を持った二つの写真群が整然と並ぶ写真展『まるとメリーの二人展~再生-RE;start-~』がWEST 2-Eで開催中です。

一見対比を描くように展示された2人の写真ですが、テーマを読み解いていくと見え方が変わってきます。




by まる


by メリー


展示タイトルにある『再生』にはこんなコンセプトが込められています。以下は展示キャプションの引用です。


「自然」とはどのようなものだろうか。

緑豊かな「過去」を自然と定義することもあれば、「現在」を自然と定義することもある。

定義から外れる行動は、「破壊」ととらえることもできるだろう。

---何を以ってして「自然」と呼ぶのか。

そして私は、あなたは、何を取捨選択するのか。


一見するとまるさんの撮る自然の風景に対し、メリーさんは都市の風景をとらえているため対比を描いているようにも見えます。

しかしメリーさんの捉えた街には、遥か昔にさかのぼれば木々が生い茂るような自然が広がっていて、高層ビルのそびえる現在の姿は文明の発展の末に必然としてできあがったごく「自然」の、ありのままの風景とも言うことができます。


by まる 

思わず目が離せなくなってしまったこちらの写真。
星が放つ光が長時間露光で夜空に線を描いています。
地上に目を向けてみると雲のように白くモヤがかった海が広がっていますが、これも長時間露光による表現で、うねる波の残像が写し出されているためです。

異なる色をした二つの光が海を染めていますが、これは狙って撮ったのではなく偶然の産物なのだそう。緑がかった光は海辺に建つホテルの明かり、左側の青白い光は台風のためパトロールにやってきた地元の漁師さんが使用していた懐中電灯の光が写り込んだもの。図らずもまるで銀河のようなグラデーションを描いています。


by メリー 

早朝の誰もいない新宿の街を捉えた作品。
この一帯が開発されてはや半世紀近くが経ち、いまではこの風景こそが新宿の自然な風景とも言えます。

人けがまったくないため、より一層街の表情が鮮明に浮かび上がっているのがわかります。これ以外のカットも人のいない街を捉えたものが多く、街を街として撮るのではなく、山を撮ったり海を撮ったりするのと同様、対象をただ自然にそこにあるものとして捉えているという感覚なのかなと思いました。


二人で展示をやるのは今回が初めてとのことでしたが、コンセプトも展示構成もそうとは思えないほど。素晴らしく濃密な写真展でした。


【 展示スペース : WEST 2-E 】