【多摩美術大学「よあさる」展】『咳してもひとり』 高橋佑佳 [EAST 304]

『よあさる』
多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科卒業制作展
2017.1.24 - 2017.1.29

WEST/EASTほぼ全館規模で開催中の
多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科卒業制作展『よあさる』。
<上演><上映><展示>とそれぞれ会場が分かれており、
デザインフェスタギャラリーでは<展示>部門の作品を見ることができます!

こちらのブログではEAST 304 の高橋佑佳さんのアニメーション展示をご紹介します。





展示空間はまるでアニメーターの作業場にお邪魔したような感覚。
写真のように実際にアニメーション制作で使われたセル画や画材が無造作に置かれています。

そう、今回のこの高橋佑佳さんのショートアニメ作品はすべてセル画を用いて作られているのです。

普通のアニメと何が違うの?という方のために。
昨年は『君の名は。』や『この世界の片隅で』などアニメ映画作品のヒットに沸きましたが、現代のアニメ制作はほぼほぼデジタル制作が主流となっています。





デジタルのアニメでも原画と動画はアニメーターの手描きで制作されるのが日本のアニメの誇る文化でもあるのですが、彩色、撮影など以後の行程はPC上で行われるのが基本形となっています。

反対にセル画でのアニメ制作は写真にあるようなセル上で原画に彩色。
もちろんそのすべてが手描きで行われており、デジタル化以前はジブリ映画などに代表されるアナログのアニメ制作の主流でした。
中でも男鹿和雄氏による背景画は単独で大規模な個展が行われるほどに、芸術的価値が世界に認められています。





本展示では高橋佑佳さんによるオールセル画のアニメーション上映のほか、実際の制作に使われたセル画が写真のようにレイヤー上に展示されており、作品を見ながらどのような仕組みで絵が動いているのかなど、セル画アニメーションを横断的に楽しむことができます。一枚一枚の原画もそれ自体が一つの作品です。

ストーリーは田舎から上京して、一人暮らしをはじめて2年目のある男の話。
体調を崩して孤独感に苛まれながら部屋にこもる男の少年期の回想が、その姿とは対照的に美しい田舎の風景とともに描かれています



『咳してもひとり』というタイトルは尾崎放哉の自由律俳句の代表作「咳をしても一人」から取られたものだそう。

この尾崎放哉、ひたすら孤独を憂う俳句を詠った詩人なのですが、アニメ作品の纏う雰囲気、そしてこの明かりを落とした空間と俳句に込められた意味がすべてつながって、展示空間そのものが”孤独感”を表現するインスタレーションのようでした。


※WEST 1-Fはインフォメーションとなっていて、CMの上映や冊子などがもらえますよ!

【出展スペース:EAST 304】

DF STAFF isaka