八色工房 『八叉路』


八色工房 『八叉路』
2016.11.14 - 2016.11.20
WEST : 2-B

同高校の美術部を卒業した計八名によるグループ
「八色工房 」による展示会。

 『あの日偶然集まった8人。またここで交差する。』
3年間を共に過ごし、それぞれ違う道へ歩いて行った。
いろいろなものを吸収してまたここで交差し、歩いていく。



「きらきらひかる」
藤田真央


決して静止しているようには見えず、
空から放り投げられたみたいに見える。
結晶、宝石、飴玉、ゼリー。
グリーンのそれはさくらんぼを内包し、
装いはまるでメロンソーダ、口に放り込みたくなる

もし結晶の側面を確かに持っていたならば、
歯が欠ける恐れがあるので、気を付けよう。


「さく」
福島朋実


素直に言葉に引き摺られるならば、
さく は 咲く なのだと思う。

色、強度、重量、手触り、
異なる木片が集合したり距離を置いたりして、
それらの結果をふと眺めたとき、
まるで「咲いている」みたいに観察される。

それは今後もこの作品が、
成長し続けることを信じているみたいに、
意識の拡張を促そうとする。


「room」
鈴木春奈


3DCGで構成された誰かの部屋。
出しっ放しのイス、放られた毛布...までは良かったものの、
写真左下のプリントを見て、一気に不安に陥る。

「個々のアイテムを空間内の指定した座標に配置する」
この方法は私の学生時代の記憶に基づく、
初歩的な3DCGモデリングにおける手法です。
この考え方に沿えば、
重力と摩擦によって対象を留めようとする作用がここでは効かず、
卓上に載っていたものは無重力状態さながら一見、安定しない。
複数の対象に同座標を指示すれば、融合・貫通する。
物理法則に則していない環境さえ、いとも簡単にシュミレーションできる。
(もちろん、物理演算を行えばそれらの環境も仮想構築できる)

そんな仮想世界だってわたしたちの「room」と同様に、
「room」と呼べる。
そんなことを考えてぞくっとする。


「P」
武井智子


近未来的な時代感を纏ったマチエール。
描かれたモチーフの数々は、それが花瓶や岩に見えようと、
脈打つ生命体らしく観察される。

個人的な見立てでは、
武井さんは、モチーフのアイデンティティを、
溶解、凝縮後、表層に押し留め、成形させて、
表面的な形を取り繕うことで、
不可視だった内容物を露にし、
同時に対象の再構築を試みている。

試みるという単語の通り、
制作という名の再構築は、
トライ&エラー、実験の繰り返しなのかもしれない。

私達人類もそんな試行錯誤の結果、
ではなく過程にあるはずで、
これからも良くも悪くも変化が続く。

ー「P」というタイトルは、
学生時代に聞き覚えのある「任意の点P」を想起した。
だとすればこの点、過去・未来・現在を俯瞰した上で、
作家の手により打たれた一つの進化の可能性である。


「千年の祈り」
Marie Kuromiya


「千年」という言葉の響きが好きだ。
現代の日本人男性の平均寿命が約80歳だから、
何世代もの生を引き継いで、やっとのこと辿り着ける未来。

こう思うのも自分が人類に属するだからで、
もし植物に属していたら(意識の有無は別として)
その途方もない時間をもっと楽観視できたのかもしれない。

植物は祈られる対象にはなっても、
祈ることはできない。

だから、この祈りは、
人類による、人類に向けた、祈りに思えるのだ。



八色工房 『八叉路』
2016.11.14 - 2016.11.20
WEST : 2-B

http://www.designfestagallery.com/space/west2b?n=west2b&sp=2-B&b=WEST