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東京デザイナー学院



東京デザイナー学院
『 ere展 』
会期:2016.3.28 - 2016.4.3

「時代」をテーマに構成された本展示会。
来場者は、矢印で記された順路を辿り、
過去→現代→未来 の順に、
展開されるテーマと作品たち。


過去 


イラストレーション科 GURUKUMAさん


現代のイギリス人俳優の皆さんに、
1920年代のイギリスにタイムスリップして頂いて、
出来上がったという肖像画風のポスター。
用いたフレームのセレクトもグッド。
英国紳士、こんな風にスーツを着こなしたいものである。


イラストレーション科 菊月アリナさん


大正浪漫をイメージして描きました。
様々な物事への「自由」が許されなかった時代。

想像するしかできない過去の時代を想い、
描かれた一枚のイラストの中には、
女学生の容姿、服装の華やかさを主体にし、
その背景には彩度がおさえられた人物と建物を配置。

手前で宙に浮く金魚に注視していると、
女学生と金魚がともに一つの金魚鉢に、
閉じ込められているようにも感じられる。


インテリアデザイン科 飯島/伊東/古谷/松岡さん


平成生まれ、昭和を経験したことのない
インテリアデザイン科の女生徒の皆様は、取材を通して、
時代の理解を深めながら模型を作製。

写真は、とある誰かの居間をイメージして作成された模型。
くるっとクセがついた新聞の置き方がニクイなぁと思った。

他にも銭湯、酒屋、旧型の電柱、駄菓子屋、盆栽コーナー。
知っていても、多分、知らなくてもセンチメンタルになれる。

現代


イラストレーション科 陽梅さん


水たまりの中にガラスを浸すと、
その存在が溶けたように消えてしまう感覚に似ている。

異物感が無い・感じないと言えばいいのか。
水中であることを忘れてしまいそうになる自分を、
所々で浮き上がる気泡が食い止めてくれる。


イラストレーション科 舘野 夏澄さん


「現代」を象徴するアイテムとして携帯電話を取り上げた舘野さん。
服装から察すると、女子高生だろうか。
ソックスの移り変わり、化粧品、キーホルダー、フックタイプのタイ。
細かく観察すると、実は時代とともに変化したアイテムが沢山。

「ショートケーキはいつの時代も美味しくあってほしいです。」

そんな作家のメッセージ、これだけは長きに渡って、
変化しない一つの女性としての意思かもしれない。


グラフィックデザイン科 宮内 里穂さん


「ING」 と名付けられた本作品。
海辺の風景を背景に、字体の異なる文字と想いが重なる。

静止した作品なのに、横にスライドする錯覚に見舞われるのは、
私がニコニコ動画を日常的に視聴していることが原因なのか。

流れる、漂う、そんな感情が定着しない感覚、
どこかに漂着することができるのか、
それともあても無く漂うだけなのか。
そんなぐらつきが、今、INGだと、私も思います。

未来


イラストレーション科 ニシティさん


「秋葉原2150」というタイトルが付けられている舞台。
少女の袖に縫い付けられた腕章、目元のグラス。
それらは私個人、日常の延長線として許容できる。
許容できるってことは、そうなりそうだな、って思えるってこと。

あと数十年したら、秋葉原は、日本はどう変わるだろうか。
本作では、車が道から消えて、変わりに飛行機が往来する光景が描かれている。
美しい夕焼けに立ち向かう、未来の電気街。


イラストレーション科 くまざわ ゆにさん・姫宮 千春さん


未来では病気を予防する方法として、
ウイルスと戦って死滅させる方法が適用されました。

微生物やウイルスが視認できるようになった技術の進歩と、
様々な物質を擬人化できるようになった想像力の発展をかけあわせて、
どこまでもポジティブに振り切れた作品。

ゲームの一画面のように見えて、実は一大事である。
両者の表情を見ると、優勢と冷静の間でシーソーゲーム。


イラストレーション科 富山 純名さん


ブラー効果がかけらたかのように、
おぼろげな輪郭線で構成された本作品。
タイトルは「彼女が見た夢」

空を泳ぐ異形のそれを仰ぎ見る少女、
夢は夢だと思うから夢なのであり、
信じて、現実のこっち側にもたぐりよせることが叶えば、
情景はクリアになると、その可能性はあると思う。
夢と現実の両方に手をかける、このバランス感覚は素晴らしい。


プロダクトデザイン科 西山楓太さん、八木 健太さん
「kaguya」

昔話のような竹林に囲まれた日本の家など、
昔ながらのくつろぎをイメージして制作されたという椅子。

竹を割ったかのようなそのフォルムは、
タイトル同様、かぐや姫。
あと家具屋という当て字も思い浮かびました。
木を寄せ集めて作られた風呂桶みたいにも見える。
再断面、木目がそのまま見えるってのも好き。


ファッションデザイン科 中川 啓輔さん
「FUTURE FROM THE CURRENT」


ファッションは身にまというという性質上、
素材からの影響を多分に受けます。

素材の一部に用いられた塩化ビニール、
それが可能にした透明度の高さ、強度、断熱性。
従来の選択肢からは得られなかったその欲求を満たすという意味でも、
素材という一面からも、未来が見えると思います。


複数の学科の生徒様が入り乱れての展示会。
同一のテーマを設定することで、
来場者様だけでなく、出展者様同士でも、
異なる視点を共有できたのではないでしょうか。


本展示会は 2016/4/3(SUN) が最終日です!!
ご来場をお待ちしております。