万翔葉、まめ 『私のルミエール』


万翔葉、まめ 『私のルミエール』
2015.11.23 - 2015.11.29 at WEST 2-A

和の艶やかな世界観、洋のクラシカルな世界観が融合した和洋折衷の二人展『私のルミエール』。
一見対照的な個性をもつ二人の作品は、同じ空間に共存し、見事に調和していました。






スペースに入るとまずはじめに、展示のDMに使われたそれぞれの作品が並びます。
左側、鮮やかな青が印象的な着物に身を包み、ガラス細工を手に持っている女性を描いたのはまめさん。
そして右側、仮面を外し、真紅のバラに囲まれ横目で視線を送る中性的な男性を描いたのが万翔葉さんです。

それぞれの個性が端的に表れたこの作品により、この展示の世界観が象徴的に提示されています。



足を進めると並ぶのはまめさんの作品。
CLAMPや中原淳一などから影響を受けたという彼女の作品は、儚げな女性の表情と極彩色が印象的です。
作品は文明開化期や大正ロマンを意識して描かれ、当時を連想させるアイテムが女性のまわりや背景に散りばめられています。


今回の二人展には『花とガラス』というテーマが設定されています。
これはまめさんのガラスの描き方に感銘を受けた万翔葉さんが、もっといろんなガラスを描いて欲しいという想いから提案したテーマ。
結果的に万翔さんの試みは奏功。和の世界の中にあって、背景のステンドグラスが調和し人物の魅力を一層引き出しています。

両者の作品には美しくも儚く壊れてしまうガラスのような繊細さが見て取れます。もうひとつの花というテーマについても作品の随所に美しく描かれ、彩りを添えています。


圧巻はこちらの大作。
絵巻物の絵のような形式で、『大和撫子』という言葉がぴったりな女性たちの交流が描かれています。古風なように見えて女性の絵柄はとても現代的。
部屋の装飾品、扉のガラスの柄、着物の柄、全てのディテールがとても細やかに書き込まれています。


ここからは「洋」の万翔葉さんの作品。
万翔さんは大学時代に史学科で世界史を学んでいたということもあり、中世、特に18世紀ヨーロッパの芸術や文化が作品のバックグラウンドにあります。

今回の展示作品は『ナグノーマ(Nagnoma)』という仮想世界の物語をベースとしたもの。

ナグノーマとは万翔さんが創造する“此処ではない世界”。
上層と下層の縦に並んだ二つの階層で構築された世界で、その中心をマハ(maja)という巨大樹が貫き、そこに住まう人々はみな“生命の樹”として崇めています。

この写真の作品は、ナグノーマの下層に住む青年を描いたもの。
中世ヨーロッパの庶民服に身を包んだ青年の表情にはまだ少し幼さが残ります。


反対にこちらは上層に住む女性を描いた作品。
高度な文明が発達した上層では、この絵の女性のように現代的な衣装を着こなす人々が暮らしています。
そのためか色使いも対照的に華やかで、そこに居る人々の暮らしを想起させるかのよう。





二人のルーツは全く別の場所にあって、それでも一つの展示として見渡してみると互いの良さを引き出し合って、高め合っているかのように作品を観ることができました。

万翔さんからまめさんへ展示の話を持ちかけた際に意識したのが「ケンカをしない絵柄」であること。もともと共通して水彩をメインに使っているということもあり、世界観が違っていながらも、一つひとつの作品が共鳴するかのように並んでいる空間でした。

【今回の展示スペース:WEST 2-A】





DF STAFF isaka