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『きものたちの遺言』Rei

 『きものたちの遺言』
 Rei
 WEST 1-C:10/13-10/19

古着の着物と帯を利用して作られた、バッグや小物たち。
Reiさんが収集されている大正〜昭和初期の男性ものの襦袢(着物の下に着る肌着)や
羽織は、現代の着物を見慣れているとおどろくものばかり。
ハイカラでモダン、粋な着物の世界をご紹介します!

着物ではなく、現代のカジュアルな服装に合うようにつくられたバッグには、
ショルダーにイタリア製の革が使われていたり、麻を使用したりと素材にも遊び心が。
ひとつひとつReiさん手書きのカードがついていて、柄や生地の生産時期が日本語と
英語で丁寧に表記されています。
裁縫はすべて独学で、つくりたい!と思ったものを形にしてくので型紙も使わないとか。内側はマチ部分の裏にプラスチックを入れたり、裏地は帆布を使いポケットも充実して…
と、とてもきれいに仕立てられています。


明治期頃のドクロと芸者が絞り染めになっている襦袢を、帯と組み合わせたバッグ。

アール・ヌーボー様式モダン草花文様ショルダーバッグ。
昭和初期頃の女性ものの帯で、絹でできています。今見てもすてきな文様です。



現代アートが好きで、ご自宅のマンションのワンフロアでギャラリーを
されていたというReiさん。
作品のなかにはご自身で描かれた写楽やリキテンスタインを組み合わせたバッグも。
たくさんの着物たちを見てきた目利きで、これはそのままの形で残しておくもの、
これは似たパターンがあるのでほどいて変えてみよう、と決めていくそうです。


女性ものの着物にくらべ、落ち着いた柄や色合いの印象が強い男性ものの着物。
しかし、表はシックに、見えないところを派手に飾るというのが男性の“粋”な着こなし。
襦袢や羽織の裏など、着物の裏側は個性豊かなデザインであふれています。

愛嬌ある桃太郎と金太郎。童話や鳥獣戯画をモチーフにしたものも多いとか。

瓦をごろごろと散歩するネコ柄。かわいい…

跳ね上がる鯉と興奮して見上げる男性。3Dのようなダイナミックな構図が新鮮。

なんと漫画柄まで!コマ割のように配置された絵は思わず目で追ってしまいます。

Reiさんに羽織っていただいたこちら、表は黒生地に白い紋が2つ入ったシンプルな
ものですが、裏を返すと一転、眩しいほどの白生地に身を清める女性の姿が。

このような着物たちは、まだ遊郭の文化が残る時代特有のものでもあるそうです。
着物や羽織を脱いだ時の反応を楽しみに、男性たちは競って面白い柄を仕入れて
いたのでしょうか。


ボストン美術館の図録に掲載されているものと同じ柄の襦袢も展示中。
世界のコレクターからは「芸術品」としてすでに高く評価されています。

「“作家”ではなく、名もなき“職人”たちが食べていくために作った、
というところに魅力がある」とお話ししてくださったReiさん。

女性ものの着物にも言えますが、大正〜昭和初期あたりの着物は
配色・デザインどれもセンスがよく、とても格好良いです。
それでも、当時は芸術品ではなく、あくまでも庶民の生活用品。
作者の名前が残っているような着物はほとんどありません。

自分の名前が表に出なくても、情熱を注ぎ、遊び心を忘れず、
変わることなく良い仕事をする。
今回様々な着物たちを知り、一枚一枚が職人にとっての「作品」になりうるのだと
“粋”な職人魂を見せつけられる思いでした。

こちらでご紹介できたのはほんの一部。
記事の3倍くらいお話させていただきましたが、勉強になることばかりで
着物のこと、文化のこと、日本をもっと知りたくなりました。

ぜひ会場で作品を手に取りながら、Reiさんとお話していただきたいです!
展示会は本日が最終日。ご来場お待ちしております!

【facebook】 https://www.facebook.com/reiko.wkui

<出展スペース:WEST 1-C>

DF STAFF nakagawa